陽ノ下光。
今年きた転校生の一人。
明朗活発で誰にでも優しく、隠れファンクラブができるほどの美少女。
千鳥かなめ。
陣代高校在籍女子の中でも、高ランクの美女。
ただし、性格がかなりきつく、彼女にしたいと言うよりは一歩離れてアイドルのように見ている男子が多い。
しかし、二人の美少女に付きまとう二人の男性。
牧和輝と相良宗助。
元々学園の危険物とまで言われた相良宗助。
そして、陽ノ下光と共に転校してきた牧和輝。
真っ向からぶつかった場合の二人の戦闘力は計り知れないと言ってもいいだろう。
「と、いうわけで。この諸悪の根源の二人を倒し、光ちゃんとかなめちゃんを救い出すのが僕たちの使命である!」
暗幕の引かれた薄暗い部屋。
その一辺にはプロジェクターから発せられる映像が映し出されている。
その周りには10人ほどの学生服姿の男子。
「あの、部長。二人・・・特に陽ノ下さんと牧は学校公認のカップルなんじゃ」
「大河原!!お前にはわからないのか?光ちゃんは無理矢理あの悪鬼につき合わされているというのを!」
部長と呼ばれた男子が目の前の机を叩き立ち上がる。
「僕らに助け出されるのを待っているのだよ。さぁ、同士よ。立ち上がるのだ」
部長の呼びかけに呼応するように、他の男子生徒も立ち上がる。
「光ちゃんとかなめちゃんを我らに!!」
『光ちゃんとかなめちゃんを我らに!!』
狭い部屋のなかで全員で叫びを上げる。
「うるさぁぁい!!」
怒号とともにドアが開き、美女が中に飛び込んでくる。
「こちとらテスト明けで、せっかくのんびりしようとしてたところに、緊急の生徒会の会議開かれて頭きてるんだから。静かにしなさい!!」
飛び込んできたのは、話題に出ていた千鳥かなめ。
ここにいる全員よりの叫びよりも大きな声で叫び、部屋から出る。
「・・・・・・・じゃ、じゃあ今日は解散」
男子たちは思い思いに部屋から出る。
ここは、陣代高校生徒会室隣の資料室。
彼らは、この学校の生徒たちだった。
「ちょっと、和輝くん!」
「ほへ?」
「聞いてよ。かなめったら和輝くんが優しくて好きだなとか言って」
光の訴えに眉をひそめる和輝。
「光だって宗助が頼りになるボディーガードみたいでうらやましいって言ってたじゃない」
和輝の隣に座る宗助も同じ表情になる。
昼休み。
遅れて来た美女二人はどうも何か機嫌が悪そうだ。
「で?」
「和輝くん、『で?』じゃないわよ。和輝くん、最近冷たいし・・・それに八方美人だし、浮気モノだし」
「ちょ、おい。なんだそれは」
光が顔を真っ赤にして和輝に対して怒りをあらわにする。
「最近、私にあんまり構ってくれないし。かなめはいいよね。宗助くんはかなめだけを見てるんだから」
「だからいつ、俺が浮気したんだよ!」
「いつもだよ!!恭子ちゃんとかには優しくするしさ」
和輝が黙り込む。
「はぁ。ねぇ、宗助くん。私のボディーガードになってくれればなぁ」
「そうかそうか。んじゃ勝手にしろ!」
和輝が屋上から階段を下りる。
「ちょ、いいの光?」
「いいもん。ねぇ、宗助くん」
「・・・い、いや。俺は」
手を合わせて見つめる光を前に、宗助自身が断るに断れなくなっている。
「あんたも嫌なら嫌ってはっきりいいなさいよ」
「嫌じゃないよね?」
「むぅ」
二人の美女に挟まれて困惑する宗助。
それを見て、かなめが立ち上がる。
「どこ行くんだ?」
「和輝くんのとこ。和輝くん、光の理不尽な我侭を聞かされて可哀想だし」
「それでは俺も」
立ち上がろうとする宗助をかなめは止める。
「宗助は光と一緒にいれば?」
それだけを言うとかなめも教室に向かう。
「・・・むぅ。和輝くんの馬鹿」
光が誰にも聞こえないような小さな声でつぶやく。
「ん・・・ずきくん・・・和輝くん」
「ん、あ。わりぃ、どうした光?」
かなめが何度も呼びかけて、やっと振り向く。
「光のこと考えてたんだ」
「あ。すまん。えっと、なんだっけ」
かなめがクスクスと笑う。
昼休みの喧嘩も、二人が本気でないことは当に気づいていた。
かなめには逆に和輝と光の関係は少しうらやましいとさえ思っている。
「ちょっと銀行でお金下ろしてくるからちょっと待っててって言ったの」
「ん。了解」
かなめが銀行に入っていく。
「・・・ふぅ」
先ほどからずっと光のことが頭の中を占めていた。
ここ2週間ほど、自分が狙われていると知って光とは距離を置くようにしていた。
それが冷たくしているように見えても仕方はなかった。
だが、光なら大丈夫だろう。
和輝はそう思っていたのだが、どうやらそれは間違いだったようだ。
ずっと光のことで悩んでいるが答えは出ない。
こんなことは過去にはなかったから対処法が和輝にはわからないのだ。
光とは当たり前だし、その前にも同年代の女性と一緒にいたことがないのだから。
「あれ?」
和輝は時計を見る。
かなめが銀行に入ってから10分以上はたっている。
「遅いな」
銀行の中を見てみるが、彼女の姿は見えない。
嫌な感じがして、中をくまなく探す。
かなめはどこにもいないし、店員に聞いても誰も知らないという。
「牧!」
「宗助!」
銀行の外に出ると、丁度宗助がこっちに向かって走ってきた。
「かなめちゃん見なかったか?」
「陽ノ下はお前のところに来たか?」
二人は同時に声を発する。
そして、顔を見合わせ青ざめる。
常に沈着冷静な二人が青ざめるなんてことは極めてまれな出来事だ。
かなめ。そして光の二人の共通点。
「狙いはウィスパード」
「可能性は高いな。くそ、どこから情報が漏れたんだ」
「俺はデ・ダナンに連絡後、再度調査を開始する」
「了解。俺はここいら一帯を見てくる。何かあったら携帯に連絡する」
「はぁはぁ。本物の光ちゃんがこんな近くに。も、萌え〜」
「部長、やりましたね」
「うむ。まさか千鳥かなめも大人しくついてくるとは思わなかったがな」
「こら〜!!あんたたち、早くこれ解きなさいよ!!」
複数の男に囲まれたかなめと光。
光は和輝がいるからと、かなめはその光をだしに、つれてこられた場所。
そこは陣代高校の開かずの間とも呼ばれている、体育館地下倉庫。
地下といっても、半地下のようなもので窓から外は見えるようになっている。
もっとも、今はカーテンで閉められ蛍光灯の明かりだけだが。
「ちょ、ちょっと。何をする気よ」
「ふっふっふ。決まっているだろ」
「ま、まさか。あんたたち!!エッチなことしようとしたらただじゃおかないわよ!!」
椅子に縛り付けられたまま、かなめはじたばたと暴れる。
「でも、部長、連れてきたはいいけどどうするんです?」
「ん〜・・・まさか俺もこんなにうまくいくと思ってなかったから、後のことは考えてなかった」
かなめと光から離れてヒソヒソと話し出す男子ども。
「はぁ、まさか同じ学校の生徒に拉致られるとは。これは生徒会でしかるべき処置をすべきね・・・・・・光?」
さきほどからうつむいて黙っている光。
「大丈夫だって、和輝くんと宗助が助けに来てくれるわよ」
光が首を横に振る。
「無理だよ。だって、私・・・和輝くんに酷いこといっぱい言っちゃったし」
「あのねぇ、あの程度で本気で彼が怒るわけないじゃない。今日だって私と帰ったけどずっと光のこと考えてたみたいだしね」
「えっ・・・そう、なんだ」
少しだけ笑顔が戻る光。
「そうそう。二人とも少し素直すぎなのよ。もっと相手を信じてさ、行動だけを見ないで」
「うん。私・・・和輝くんに謝る」
「そうしなさい」
「・・・かなめにも・・・ごめんね。いろいろ迷惑かけて」
「いいのいいの。この程度のこと、女子高生は日常茶飯事よ」
かなめが光に向かって微笑む。
光もそれを見てうなずく。
「でも、もし・・・来てくれなかったら」
光が顔を上げて、つぶやく。
「よぉし、何をするか決まったぞ」
男子生徒の一人が光のそばによってくる。
「まずは。ふっふっふ」
光が目を硬く閉じて、身を固める。
「何が決まったんだ」
もっともドアの近くにいた男子生徒の後ろに、別な影が現れる。
「お、おぉ、おま、お前は」
「和輝くん!」
かなめの声に目を開く光。
「遅くなってすまん」
「和輝くん・・・」
「光・・・泣いてるのか?」
光の頬には涙が伝わっている。
「い、いくら牧和輝と言えどもこの数相手にや、やれるわけがない。みんな一斉にかかれ!!」
男子生徒のリーダー。部長と呼ばれている男が号令を発する。
が、誰一人として動こうとはしない。
和輝の一睨みで一同は萎縮してしまったようだ。
「誰だ、光を泣かせたヤツは」
低い声で和輝が言う。
どんな時でも余裕を持たせて行動する和輝らしくない行動。
「あ、和輝くん、違うのこれは」
「どうしたの?」
「だめ、和輝くんを本気にさせたら・・・死人が出るかも」
『え』
光の言葉に、一同が固まる。
「前に、一度だけ和輝くんが切れたことあるの知ってるんだけど・・・一晩で3つの不良グループ壊滅させたって」
その言葉に男子生徒が脱兎のごとく逃げ出す。
まさに一心不乱に。
「待て」
和輝の手が部長の襟首をつかむ。
「ひっ、ひぃぃ」
「次に同じことしてみろ・・・消すぞ」
和輝の顔は学生のそれから、完全に軍人・・・いや、傭兵と変貌を遂げている。
一介の高校生がそんな顔で睨まれて平気でいられるわけが無い。
部長はその場に腰を抜かして動けなくなる。
「二人とも・・・大丈夫か?」
二人の縄を解く。
自由になった光を前に和輝がとった行動。
深々と頭を下げた。
「ごめん」
「あ、和輝くん」
「まさか、光がそこまで思いつめているなんて俺も思わなくてさ」
「和輝くん」
不安がっていた光の顔がどんどん笑顔に変わる。
が
「俺が馬鹿だったよ。光のガードは宗助がやってくれるように俺から頼んでおくから」
「え?」
眉が八の字に曲がる。
「本当はここにも、宗助が助けに入ったほうがよかったんだろうけど・・・光!?」
光の瞳から大粒の涙が。
「うぅ、ばかばかばかばかばかばかばかばか。どうしてそんなこと言うの!!和輝くんは私のこと嫌いになっちゃったの?」
「俺は・・・」
「私は和輝くんが大好き。ううん、言葉なんかじゃ言い表せないくらいに。ずっと、ずっと一緒にいたいんだよ」
一気にまくし立てて、涙をボロボロこぼしながら泣き喚く。
まるで、子供のように。
その光を優しく抱きしめる和輝。
「光。ごめんな。もう・・・お前から離れたりしない」
「っく、っく・・・」
「もうガードを代えるなんて言わない。光のことは一生俺が守る」
「・・・ぅん・・・ちゃんと守って・・・一緒にいて」
「あぁ」
「ふむ。元の鞘に納まったな」
「うん」
体育館地下倉庫の様子をのぞいていた宗助とかなめ。
光と和輝の関係が元に戻って胸をなでおろす。
「あ、そうそう。あんたももう少しそのいい加減な態度とるのやめなさいよ。ホント、戦いの時以外はどっかずれてるんだから」
「心掛ける」
「よし。あ、そうそうCD買いに行くんだった。あんたも暇でしょ、付き合いなさい・・・ついでにタイヤキでも食べましょ」
作者 「うす」
宗助 「誰だ貴様」
作者 「いきなり拳銃を突きつけるな」
光 「あ、お久しぶりです」
和輝 「・・・また面倒なことになりそうな」
作者 「面倒って・・・ちょっと時間があいたから来たのだが」
かなめ 「作者?」
テッサ 「・・・あの件どうなりました?」
作者 「う。マジでやるのか?」
テッサ 「もちろんですわ」
かなめ 「あの件?」
光 「いやぁな予感が」
作者 「はぁ、次回のシリーズ、クレームがこなけりゃ良いけど」
和輝 「どういうことだ?」
作者 「ん、気にするな。まぁ、今以上にはちゃめちゃになる・・・とだけ言っておこう」
宗助 「ガウルンでも出てくるのか?」
作者 (ギクッ)
かなめ 「なぁ・・・マジで!?」
和輝 「ガウルン?」
光 「???」
作者 「光・・・かなめ・・・すまん」
光・かなめ「えぇぇぇぇぇぇぇ!!!」