「じゃぁん。どう。これ」
う・・・やばい。鼻血が出そう。
黄色いビキニ姿の茜は、ものすごく魅力的だ。
服を着ていてもわかる大きな胸が、さらに大きく強調されてるような。
「って、俺は修練に来たんだけど・・・」
「うん。で、ボクはそれを応援にきたんだよ?」
「それはどっからどう見ても、応援というより遊びに来たようにしか見えないぞ?」
今の彼女の姿は、黄色いビキニに、大き目の麦わら帽子。足元にはビーチボールにスイカ。
「ん〜・・・応援と遊び両方だよ」
「言い切ったな。ふぅ、ま、とりあえず俺は山に上がるよ」
「はぁい。ボクも一泳ぎしたら行くね」
俺は筋肉番長との一戦以来、自らを鍛えなおすために修練を続けていた。
師匠の下を離れて約3年ぶりの修練だ。
最初は、全身の筋肉が悲鳴をあげたけど、今はもうあの頃よりもハードな修練でも問題はない。
「にしても、茜までついてくるとは」
ここはひびきの市から、電車でいく海水浴場。
俺の目的は海じゃなくて、その裏にそびえる山。
山道から一歩でもはずれると、かなり険しい場所だ。その奥にある滝が俺の目的地。
「しかし・・・」
俺は茜の方を見る。
『ねぇねぇ、カノジョ一人?』
『お暇ならさ、遊ばない?』
『向こうに夕日が綺麗にみえる丘があるんだけど』
次から次へと男たちが茜に声をかける。
ムカ・・・
しかも、微妙にあまり嫌そうじゃない顔がさらに俺をむかつかせる。
「茜!」
「あれ?山にいったんじゃなかったの?」
「・・・俺がここにいちゃ邪魔か?」
「え?そんなことはないけど・・・」
けど?
けどってなんだよ。あぁ・・・そうですか。
俺よりもここにいるお兄さん方のがいいのね。はいはい。
「好きにしろ。じゃあな」
「あ、牧くん!!」
まぁいい。俺は修練に来たんだ。茜なんて知るか。
・・・・・
あれ。ここどこだ?
適当に海岸沿いを走ってたら変なとこに出たな。
ここの海水浴場って、岩場もあるんだな。
「まぁ、ここって結構危なそうだし、人がいないも納得か」
岩にはミズゴケなどが生えていて滑って危ない。
もちろん、子供などが転んだら大怪我だろう。
「けど。ここなら・・・バランスと足腰を鍛えるのにはいいかもしれないな」
俺は手近にある岩に登ってみる。
ふぅん。結構続いてるな・・・よし、向こうに見える岩場まで岩を伝って行ってみるか。
岩から岩へ飛び乗って行く。
思った以上に脚の力とバランスが必要だ。
「くぅ。結構きっついな」
「へぇ、なかなかやるねぇ」
俺の前方にある岩の上に座ってこっちを見下ろしている少年がいる。
誰だ?地元の子か?
「ここの岩。変な形だから足腰にくるだろ。よっと」
少年は器用に俺と同じ岩に乗っかる。
「ふぅん。なるほど、いい体してるじゃねぇか。桜田門が負けたのもうなずけるな」
「桜田門!?お前・・・まさか」
「聞いて驚くなよ。俺の名は四ッ谷甲二、またの名を火の玉番長!」
・・・番長四天王?
まさか、ここで出てくるとは思ってなかったぜ。
「牧和輝!ここで引導を渡してやるぜ!」
火の玉番長が気合を込めると、両腕が赤く光りはじめる。
「俺がどうして火の玉番長と呼ばれてるか教えてやる!!」
そう叫ぶと、彼の両腕の肘から下が真っ赤に燃え上がる。
・・・と、特撮?
「俺はな、熱血という炎を身にまとうことができるからだ!あぁっはっはっは。どうだ恐れ入ったか」
「・・・ったく。番長四天王ってのは化け物ぞろいかよ」
まさか、こんな人間が実在するなんてな。
しかし、あの炎が本物なら・・・素手での戦闘は危険だな。どうする?
「ふっ・・・俺から行くぜ!!必殺、火の玉パンチ!!」
普通のパンチなら払ったり受ければいいんだが・・・これはさすがに触りたくないな。
っと。動きは普通。これならかわせる。
「どこまで逃げれるかな?必殺、火の玉パンチ!!」
どこまでも逃げ切って・・・!?しまった。
ここは普通の地面じゃなくて岩の上。
「もらったぁぁ!!」
くそ!火傷覚悟でガードするしかないか。
・・・・・・
あまりのことに俺は目を疑った。
突然の高波が俺たちを襲い、火の玉番長の腕の炎が消えた。
「あ・・・くそ!これだから海とか川は嫌いなんだ」
まぁいい。今のうちに体勢を。
「あ、てめぇ。せっかくバランス崩してるんだから動くな!!」
「無茶言うなよ」
「しょうがねぇ・・・これだけはやりたくなかったんだけどな・・・最終奥義を出すぜ」
な・・・さっきの炎よりもさらにすごいものがあるのか。
「行くぜ!!重いコンダラ!!」
突如、火の玉番長の前方に、野球部なんかがグラウンドをならすためのコンダラが現れる。
「今からこいつでお前をひき殺してやる!!」
こ、ここは奇人変人大賞かよ。
どこから出したんだアレ!空間転移!?そんなことも出来るかオイ!
「ちぃ。さすがにアレは」
「いくぜぇぇぇ!」
・・・・・・え?
俺は再度目を疑った。
火の玉番長がコンダラを力いっぱい押しているがびくともしない。
それもそのはず、コンダラが岩に引っかかっているからだ。
「・・・・まぁ、岩場で使うように設計されてないしな」
「く、くそ・・・俺の技をことごとく破るなんて・・・・覚えてろ!!」
それだけを言うと、火の玉番長はサルかなにかのように岩場を駆けていく。
普通に戦ったほうが強いんじゃないか?アイツ・・・
「はっ!?つうか、これじゃあ全然修練の成果わかんねぇし」
しゃあない。普通に修練を開始するか。
ふぅ。いい汗かいたぜ。
・・・せっかく海に来たんだ、一泳ぎするか。
泳ぎも全身の鍛錬にいいしな。
「ぷはぁぁ。気持ちぃぃ」
はぁ。やっぱ、海はいいよなぁ
「牧くーーん!どこーー!!」
ん?
茜か・・・ふん。いまさら出て行ってもしょうがないか。
「・・・どこ・・・ねぇ・・・どこに・・・いるの?」
はれ?様子がおかしいような。
ちょ、ちょっとだけ、近づこうかな。
「牧くん・・・ボクをおいていかないでよぉ」
「ほら、カノジョ。カレシなんていないじゃん。俺と仲良く遊ぼうぜ」
あん・・・誰だあの茜の肩になれなれしく手を置いてる男は。
「いるの!絶対に・・・牧くん」
「カノジョほっぽといてどっかに行っちゃうカレシなんて無視しなって。な」
「ちょ!?」
あのヤロー!!茜の胸に!!!
「てめぇ!!!」
「あん?」
俺は男が振り向きざまにその顔面に拳をたたきつけた。
「ちょうど修練の成果が見たかったところだ。相手してもらおうか」
「あ、牧くん」
・・・もっと早く出てってやればよかったな
こんなに体震わせて。
「・・・お前。死ぬよりもひどい目にあわせてやる」
「ひっ!!お、俺は・・・・・ひぃぃぃぃ!!」
ったく、弱いなら最初っから人の女に手を出すな!
・・・人の女
「ひっく・・・ひっく・・・牧くん・・・ボク・・・ボク・・・んっ」
ごめんな。
茜を守るって誓ったのに。
「茜・・・ごめんな」
「ううん。ボクも・・・ごめんね」
・・・・・
茜・・・俺の大好きな茜。
「どこ・・・触られた」
「え?」
「・・・ここ・・・触られただろ」
俺は茜を岩場に押し倒していた。
そして、茜の大きな胸を両手で掴み、力任せに揉む。
「んっ・・・い、いたいよ・・・」
「茜・・・俺」
「・・・いいよ・・・牧くんなら」
茜は自分の手でビキニのブラをはずす。
陽の下にあらわになった二つの乳房。
その姿の茜は、いままで見たどんな茜よりも、綺麗で可愛くて、愛しく思えた。
「・・・ねぇ、牧くん」
「ん?」
「和輝くん・・・って呼んでいい?」
「あ、も、もちろんだよ」
俺たちは帰りの電車の中でそんな会話をしていた。
「えへへ。嬉しいよ」
「茜」
「和輝くん」
茜が俺の肩に頭を預ける。
肩にここちよい重さ。
この幸せが毎日続いてくれるなら・・・俺はもう、何もいらないかもしれない。