髑髏が巨大な口を開き、和輝たちに襲い掛かる。
だが、和輝は自らの意思で襲い掛かる口に飛び込んでいった。
『バカなヤツだ。自ら我が体内に飛び込もうとは』
「そんなこと言っていられるのも今のうちだよ」
『なに?』
髑髏の後頭部の骨に、ひびが入りそこから和輝が飛び出してくる。
『ぐがぁぁぁぁ』
「サンライトシャワー!!」
すかさず光が、開いた穴に向け力を放つ。
髑髏の中の闇が徐々に光に浸食され、消えていく。
『我は死なぬ!!』
髑髏は叫びをあげ、空間の闇をその口で吸い込みはじめる。
それにより、髑髏内の闇が元の状態に戻ってしまう。
「この程度じゃだめか」
「やっぱりレインボーベルの力じゃないと」
レインボーベルは上空に浮かび、7色の輝きを放っている。
しかし、その輝きは徐々に弱くなってきている。
「それじゃあ、あの硬い殻を全部剥ぎ取って、闇だけにすればいいわけだな」
「うん。時間もあまり無いし、急がないと」
和輝と光がそれぞれ髑髏の左右に飛ぶ。
和輝から放たれる雷と、光から放たれる炎が、髑髏の骨を少しずつ砕いていく。
『死ね!!』
急に骨の一部分が槍状に変形し、光の肩を貫く。
「光!!」
「ん!大丈夫。この程度でへこたれるわけには行かないもの」
肩を貫く骨を抜き取り、その部分に炎を放つ。
変形により、薄くなった骨は一気に砕け、闇があらわになる。
「もう少しだよ。がんばろうよ」
「あぁ!!うぉぉぉぉぉぉ!!」
和輝が、手に闇をまとい直接髑髏を殴り始める。
先ほどよりも砕くペースは速いが、その拳も徐々に血で染まっていく。
『何だと!?我が!この我がぁぁぁぁ!!』
「こいつで最後だ!!」
和輝が腕を大きく振りかぶり、最後の一欠片を目掛けて腕を振り下ろす。
髑髏は全て壊れ、残ったのはただの闇の塊のみ。
光が、手を組みレインボーベルに祈りを捧げる。
「レインボーベル。闇を消し去る力を」
上空のレインボーベルが激しく輝き、巨大な鐘の音を響かせまばゆい光を放つ。
まずは、空間を占めていた闇が消え、ついに闇の塊が光に浸食される。
『くわぁぁぁぁ。ヤメロ!コノヒカリヲケセ!!』
光が収まった時には、残ったのはあの時見た赤子の姿だけ。
しかし、その赤子から、かすかに闇の波動が感じられた。
「あの赤ん坊って、サクシャなんだよね」
「あぁ」
赤子は動く気配は見せないが、闇の波動だけがゆらゆらと赤子を取り巻く。
「助け出せないのかな」
『かまわない。私ごとこの闇を葬り去るのだ』
赤子の口が開き声が発せられる。
「サクシャ?」
『私は不覚にもこの身を闇に奪われてしまった。殺戮と破壊を繰返し、取り返しのつかない過ちを犯した』
徐々に闇の波動がサクシャの体内に吸い込まれていく。
『今ならば、私と共に闇を討てる。早くするんだ。時間がたてば闇が力を取り戻すぞ』
光がサクシャに近づく。
すると、かすかに揺れ動く闇の波動がゆっくりと消えていく。
「あなたを殺すことなんて出来ないよ。なにか、他に方法はないの?」
『心優しき少女よ。ありがとう。しかし、他に方法は』
「ある。その闇を俺が受け入れればいいんだ」
和輝もサクシャに近づき、その身体に手を触れる。
すると、サクシャの中に吸い込まれた闇が溢れ出し、今度は和輝の腕に吸い込まれていく。
『やめるのだ!それがどういうことなのかわかってないわけではあるまい!!』
「俺の中で闇を自由にはさせない。それに、どうやら光にはこの闇を消し去る力があるみたいだしな」
サクシャからあふれ出る闇のうち、本流からもれた闇が光に近づくが、それは光に触れることなく消え去る。
「和輝君」
「光。これから俺と共に過ごしてほしい。俺の中の闇が消えるまででいいんだ。俺のわがままに付き合ってくれ」
和輝が光を見つめる。
「闇が消えるまでじゃないよ」
光が和輝を抱きしめる。
「ずっと、ずっと離さないんだから」
和輝が光の頭を撫ぜる。
サクシャの闇は全て抜け去り、和輝の身体に取り込まれる。
「くぅっっっ」
「和輝君。がんばって」
和輝の顔が苦痛に歪む。
腕は黒く染まり、身体中から闇がにじみ出る。
「なめんなぁ!!」
気合一閃。和輝の身体の闇が一気に身体の中に吸い込まれる。
黒く染まった腕も元に戻り、闇を完全に封じ込めることに成功したのだ。
「はぁはぁはぁ」
「お疲れさま」
光に顔を向け、微笑む和輝。
同時にサクシャの身体を真っ白な光が包み込む。
そして、そこにメローラの姿が現れる。
『メローラ。これが人間の力なのか。光と闇の共存する世界の』
『えぇ、そして彼らは私たちの子孫なのですから』
空間が歪み始める。
闇の力を失い、この世界がその姿を維持できなくってきたのだ。
『さぁ。2人ともここへ。みんなのもとへあなたたちを転送します』
「メローラさん」
『光。あなたにには本当に苦労をかけてしまいましたね。ありがとうございます』
「サクシャ」
『和輝よ。お前ならばもう闇に捕らわれる事は無いだろう。自分の信じた道をすすむのだぞ』
メローラとサクシャの視界から2人の姿が消える。
そして、光に包まれ彼女たちもあるべき世界へと戻っていた。
「光!」
まず、2人を出迎えたのは琴子だった。
場所は伊集院の屋敷の中庭。
そこには数多くの人たちが2人の帰りを待っていたのだ。
「光ちゃん。和輝くん。おかえりなさい」
華澄が2人の手を取り泣き崩れる。
「先輩!喜ぶのだ、メイたちのお父様とお母様が」
メイを挟むように、男女が光と和輝に微笑みかける。
そして、光の前にも一組の男女が。
「お父さん。それに、お母さんも」
光は飛びついた。
姿を現した両親の胸の中で涙を流す光。
その顔には満面の笑みが浮かんでいる。
『会いにはゆかぬのか?』
「俺はもうあの世界の住人じゃないからな」
光たちの様子を見ていたヤマが黒騎士に語りかける。
「それに、俺はこの世界の黒騎士だ。この世界に迷い込んだ混沌を消すための」
『そうであったな』
「騎士様ぁ。用意できたよ」
黒騎士に向かってヒカリが駆けてくる。
ヒカリも黒い甲冑に身を包んでいた。
「よし、じゃあ出発だな」
「私たちを置いていくつもり?」
「薄情だなぁ。けど、そこが牧くんらしいけど」
黒騎士の頭上から2人の花桜梨と楓子が舞い降りる。
「ぶぅ。騎士様は私のものなの」
「ついてくるのか?長く辛い旅だぞ」
花桜梨と楓子はお互いに顔を見合わせ、微笑みあう。
「もちろんですよ。それに、あなたがいれば辛くはありません」
「ヒカリちゃんよりも私たちの方が役に立つしね」
「むかぁ。私は楓子お姉ちゃんみたくドジじゃないもん」
黒騎士は、マントを翻し、3人に背を向け歩き出す。
「行くぞ。ついて来れないなら、置いていくからな」
「えぇ。望むところよ」
「いつまでもついていきますからね」
「私がカズキを一番大好きなんだからね!」
「あぁぁ。ほむら、それはボクのだぞ!」
「へへんだ。早い者勝ちだよ」
「ぬぬぬ。この料理。茜の飯よりも美味いぞ」
「そりゃあ、伊集院お抱えのシェフの料理ですからね」
「んぐんぐ。あ!!てめぇ!一人で食いすぎだぞ」
「ん。うまいうまい」
「もっと静かに食べれないのか。こいつらは」
茜、ほむら、そして番長たちは相変わらずの様子だ。
「ほらほら、お姉ちゃん早く早く」
「真帆ちゃん。そんなに急がなくてもいいじゃない」
「ダメなのだ。せっかくのサーカスなのだ、最初からちゃんと見ないと野咲に失礼なのだ」
真帆とメイに両手を引っ張られた美帆。その前に一頭の象が姿を現す。
「うふふ。送ってあげますよ。のってください」
象の上にはすみれがサーカスの衣装で乗って笑っていた。
「ふぅ。平和な時代と陽気な日差しのなかでもお茶は美味しいわ」
「水無月さん。あなた、ずいぶんとしぶいことを言うわね」
「あはは。琴子ちゃんはぁ、この戦いでずいぶんと老けちゃったんですぅ」
「なんですってぇぇ!!」
伊集院家の中庭の一角にある、和のスペース。琴子と華澄、美幸の3人はそこでお茶をすすっている。
「まだ、世界中には見つけられなかった魔物が残ってるよな。んじゃ、俺はデビルハンターとして旅にでも出るかな。お前はどうするんだ?」
「俺も旅に出るよ。魔物退治じゃなくて、俺自身を鍛えるために」
匠と純。互いに互いの思いを確認しあい、それぞれ屋敷を出て逆の方角に歩き出す。
それぞれの背中を追いかける二人の女性。
「んふふ。ボクを置いてどこに行くのかな?」
「まさか、私に何も言わずに行くわけじゃないでしょうね」
匠と茜。純の琴子。この4人が織り成す数奇な運命。しかし、それはまた別な機会に。
そして、すでに伊集院の屋敷から離れている男女が一組。
「いいのか、おじさんとおばさんの側にいてやらなくて」
「いいよ。どうせ、また家に帰ったら、おこごと言われたりするんだし」
光が微笑む。
「なぁ。光」
「なに?」
和輝が光の耳元で何事かをつぶやく。
顔が赤くなる光。そして、その顔には今まで以上の満面の笑顔。
「うん!」
互いの気持ちを確認しあうかのように抱きしめあう。
作者 「はいOKェェェ!!」
みんな 「おつかれさまでしたぁ!」
作者 「うぅ。ついに24話終了しましたよ。みんな、ありがとう」
琴子 「まぁ、いい経験をさせてもらったわ」
美帆 「役者もたまにはいいものですね」
美幸 「美幸もぉ。全然楽しかったよ〜」
作者 「そう言ってもらえると嬉しい限りだよ」
光 「ハッピーエンドでよかったなぁ」
和輝 「この作者のことだからバッドエンドもありうるかもって思ってたけど」
作者 「実はその構成もあった。闇と共に和輝が心中するってやつ」
輝美 「えぇぇ!?よかったね。死ななくて」
和輝 「まったくだ」
花桜梨 「それにしても、黒騎士の牧さんも坂城さんも穂刈さんも旅に出てしまいましたね」
茜 「ボクたちもついていったやつだね。あれってどうなるの?」
作者 「知らん。何も考えてないもん」
匠 「あれ。なんか、別の機会にとか」
純 「ちょっと楽しみだったんだけどな」
作者 「ん〜。じゃあ、本当に機会があったら、短編でも書くよ」
楓子 「ねぇねぇ。現代の私ってどうなってるの?天使のほうじゃなくて」
作者 「大門でのんびりしてますよ。闇と出会ってないし」
ほむら 「お、真帆、どこかに行くのか?」
真帆 「うん。この後のメイキングオブの司会なんだ」
すみれ 「あ、わたしもです」
メイ 「なぬ。メイはそんな話は聞いてないぞ!」
作者 「うん。言ってないもん」
華澄 「どういう基準で決められたんですか?」
作者 「適当」
華澄 「適当って」
舞佳 「まぁまぁ。私たちは先に打ち上げに行ってましょうよ」
光 「0次会ですね。私も行く」
美帆 「じゃあ、真帆ちゃん、すみれちゃん。また後でね」
すみれ 「あ、みんな行っちゃった」
作者 「それじゃあ、Making of ヒビレンジャーを開始しますか」
真帆 「サンセー」
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