「光!今の悲鳴はなに!?」
突如魔物がいなくなり、皆が中心部に駆け込んでくる。
「牧さんが!!」
美帆が、和輝を抱きかかえる。
「和輝君。死んじゃ、ダメ、だよ」
光は目がうつろになり、焦点が合っていない。
身体から力が抜けその場にへたり込み、倒れている和輝の側で涙を流している。
「ヒカリ!」
黒騎士に呼ばれ身体が弾む光。
「うん、わかってる。お姉ちゃん、どいて」
もう1人のヒカリが、和輝の側により、傷口に手を当てる。
手があわく光を放ち、ゆっくりと傷がふさがっていくのがわかる。
ただ、顔に生気は戻らない。
「だめ、血が足りないよ。これじゃあ」
「おい!一体どういう事だ!!和輝は、和輝はどうなってるんだよ」
ほむらが黒騎士にすがり泣き出す。
「そうだ、佐倉さんと八重さんでしたら」
「ごめんなさい。この世界では、彼を元に戻す力は」
2人が下を向き沈黙してしまう。
周りもそれを黙って彼を見ているしか出来なかった。
「1つだけ方法はある」
黒騎士がつぶやくと、光が顔を向ける。
「ただし、この方法は危険だ。下手をすれば、彼は」
「いいよ。和輝君が助かる方法があるなら、それを試してよ!」
光の瞳にはいつもの強い意志は感じられない。
あるのは、愛するものを失う恐怖と絶望感。
「そうか。どうなるかは、わからないぞ」
黒騎士は、壁に手を入れる。
壁。いや、この空間を支配しているものは全て闇だ。今、彼らがいる場所以外は。
抜いた手の中に、小さな闇の塊が乗っかっている。
「それは?」
「闇の欠片だ。こいつを彼に埋め込む」
「そんな!?それじゃあ、和輝は」
「闇に耐え、勝つかどうかは彼次第だ」
みんなが見守る中、黒騎士が闇を和輝に近づける。
「私がやる。私が和輝君に」
「しかし、君まで闇に捕らわれてしまうかもしれないぞ」
「大丈夫。絶対に彼を連れ戻すから」
光の瞳に、またあの強い光が戻る。
彼女に託せば全てが上手くいく。そう感じてしまうほどに。
「わかった」
黒騎士は闇を光に渡す。
「うん」
光は闇を口に含む。
琴子が何かを言おうとしたが、黒騎士に手でさえぎられてしまう。
そして、和輝を抱き上げ、口付け。
闇は、和輝の口に吸い込まれその身体を侵食し始める。
「和輝君。頑張って」
強く抱きしめる光。
和輝の身体が暴れ始める。
まるで、壊れた操り人形のように。
「彼と闇が戦っているんだ」
「和輝君。私を一人にしないで。お願い」
光の涙が、和輝の口の中に流れ落ちる。
ドクン。
心臓が強く鼓動する。
「和輝、君」
心臓の音が規則正しいリズムを刻み、顔色が徐々に良くなっていく。
「ひかり」
和輝が目を開き、光の頬に手を当てる。
「よっしゃぁぁぁ!!」
ほむらの第一声をはじめ、周りのみんなも歓喜の声を上げる。
さすがの黒騎士もこればかりは自身がなかったようで、安堵の溜め息をもらす。
「ごめんな。心配かけて」
「ううん。そんなことないよ。おかえり」
「ただいま」
抱擁。そして口付け。
「ん。うん。そういうのは全てが終わってからにしてもらえないかしら」
琴子が大げさに咳払いをする。
そう、まだ戦いは終わっていない。魔神との戦いが。
「けど、あの魔神。どこへ行ったんだろう」
闇の中へ消えた魔神。
その所在はここにいる誰も知らない。
『それならこっちでモニターしてたぜ!』
『場所はわかってるから、そこに連れて行くね』
空間に歪みが生じ、そこから5体の機体が進入してくる。
青、桃、緑。そして黒い気体が2体。
『ミントくんのグインビーの修理が完了したのよ』
『10人までなら連れて行けるぞ』
2機のブラックツインビーの中からシーズとサリュートの声がする。
『バブバァバブゥ』
『はじめまして、ミントとグインビーだよって言ってるビー』
緑色の機体、グインビーが中に乗っているミントの言葉を翻訳する。
そして、5体の機体がみんなの前に降り立つ。
「さぁ、誰が行くんだ」
ツインビーのハッチを開き、ライトが顔を出す。
「行くのは7人だ。ヒビレンジャー。そして和輝」
「うん。行こう。みんな!最後の戦いに」
「あんな奴に、世界を壊されてたまるかよ!!」
黒騎士の言葉に、集まってくるヒビレンジャー。
その瞳には陰りは見えない。
「残りは、君たちの世界に取り残された魔物たちの一掃だ!」
「よっしゃ。アタシたちが捲いた種だ、アタシたちが刈りとらねぇとな」
彼女たちの世界には、まだ多くの魔物が取り残されている。
世界にちらばるその数は1000体以上。
「お姉ちゃんたちの帰ってくる場所を、ちゃんと作っておくね」
ヒビレンジャーと和輝が、ツインビーたちに乗り込む。
「みんな!世界を。私たちの世界を救おうねぇぇ!!」
『おぉぉぉ!』
光の掛け声とみんなの呼応に、闇が揺れる。
ツインビーたちのハッチが閉じ、歪みの中へ消える。
「花桜梨。楓子」
黒騎士の呼びかけに2人はうなずく。
花桜梨と楓子が手を広げ残った人たちを光の輪でかこむ。
「みなさんを自分たちの世界へ移動させます」
「私たちは手伝えないけど、がんばってね」
全員が光と共にこの闇の世界から消えていく。
残ったのは、黒騎士とヒカリ。そして花桜梨と楓子だ。
「さて。俺たちも最後の仕上げと行きますか」
空間を移動するツインビーたち。それに向かい、後方から何かが飛翔する。
「げげ、アレが魔物かよ」
『うわぁぁん。気持ち悪いよ〜』
ツインビーのコックピット内に、ライトの声とパステルの悲鳴が響く。
飛翔したのは羽の生えた蛇のような魔物。
『ライト!ここは俺たちに任せろ!』
2機のブラックツインビーが反転、地面に降り立つ。
そして、そこから華澄、美帆、メイの3人が降り立つ。
「和輝先輩たちは先に行くのだ!」
「ここは私たちに任せてください」
「すぐに後を追うわ」
ツインビーのハッチを開き、和輝がみんなの方を見る。
「みんな。絶対に死なないでくれよ!俺たちはみんなそろって帰るんだ!!」
3人は、ツインビーたちがこの領域から見えなくなるのを確認し、後方を振向き迎撃体制を整える。
「ごめんなさい。シーズさん、サリュートさん。巻き込んでしまって」
『気にしないで下さい。これは私たちの戦いでもあるのですから』
『あの時の闇か。行くぜ姉貴!』
魔物の第一波が襲ってくる。
後方に控えた無数の魔物。その数は、すでに50以上。そして、今もその数は増えつづけている。
「こなくそ!!」
ほむらの鉄拳が魔物を打ち砕く。
「ふへ。さすがに疲れたぜ」
『ほむら、そっちの調子はどう?こっちはもうすぐ終わるけど』
ほむらの腰に下がった通信機に、茜からの通信が入ってくる。
「おう。もう終わる。にしても、ホント、エジプトって暑いんだな」
『あはは、こっちは寒くてしょうがないよ。それじゃあ、ひびきので』
「おう!」
スフィンクスの頭の上から、周りを見回す。
見た限りでは残った魔物は10体。ほむらが最後の1戦に向かい飛び出した。
『プリンアラモード!』
『ガラグレネード!』
『ピコハンマー!!』
ツインビーたちが必殺技で魔物たちを消していく。
「琴子さん!豊穣の恵み」
「えぇ、いくわよ。聖樹生誕!」
すみれの放つ命の水と琴子の力が1つになって、巨大な樹木を作り上げる。
巨樹は光を放ち、近づく魔物を溶かしていく。
しかし、魔物の圧倒的な数に、ツインビーたちは徐々に押され始め、巨樹もその力を急激に失い始める。
「和輝さん、光さん。あの歪みの奥が魔神のいる場所です!」
「ライトくんはどうするの?」
「俺はここで戦いますよ。2人は行ってください」
ツインビーのハッチが開き、和輝と光が降り立つ。
あの魔神との再度の戦い。
今度こそ生きては帰れないかもしれない。
「お2人なら大丈夫ですよ」
「さっさと行って、片付けてきなさい」
すみれと琴子が励ましの言葉をかける。
和輝と光は、互いに顔を合わせうなずく。
「行くぞ!」
「うん!!」
駆け出した2人の身体が、歪みの中へ消えていく。
『貴様ら。未だ我に歯向かう気か』
「俺たちはお前を倒すためになら、何度でも立ちふさがってやるさ」
「私たちには強い仲間がいるんだから」
魔神の周りの闇が濃くなる。
そして、1本の腕が和輝たちの方に向けられ、そこから闇の塊が勢いよく飛び出した。
『闇に飲まれ消えうせろ!!』
光の前に飛び出した和輝が闇に飲み込まれる。
しかし、その闇は逆に和輝の身体に吸収されてしまった。
「和輝君?」
「俺は身体の中に闇を飼ってるんだ。その程度の闇は俺に力を与えるだけだぜ」
そう言って、右手に闇の剣を作り出す。
『バカな。たかが矮小な存在の分際で。闇を飼うだと!』
体内に取り込んだ闇。それは、和輝の身体を蝕むでもなく、逆に力を与えていた。
長い時、支配していた闇の精神。それと光の想いが、和輝の体内の闇を押さえ込んでいるためだ。
「光。ヤツの闇は俺に任せろ!」
「うん!なら、私も新しい力を見せてあげる!サンライトシャワー!!」
光の言葉と力に反応し、魔神の頭上の闇が掻き消える。
そして、そこから暖かな光があふれ出る。
『ぬぅ。ぬぉぉぉぉ!な、なんだこれは』
「レインボーベルが私に新しい力を与えてくれたのよ」
右手にもつレインボーベルが7色に輝く。
そして、それはヒカリの手を離れ、空間の遥か上空で動きを止める。
『我は理。我は心理。我は神なり!!』
魔神の声に呼応し、集まってくる闇。
そして、その闇を取り込み、魔神の身体が再度の変化を遂げる。
「最終決戦だな」
魔神の身体は消え、そこには闇と骨で構成された巨大な髑髏だけが残る。
『我を崇めよ!!』
光 「ついにここまで来たんだね」
和輝 「長かったな」
琴子 「私、終わらないかと思ったわよ」
作者 「ちゃんと終わらすって。次回作の構成も始めたしな」
和輝 「次回作はどんなのだ?」
作者 「一応、ときめきシリーズ。あ、和輝とヒロインの普通の恋愛物語をときめきシリーズって呼ぶから」
メイ 「安易なネーミングなのだ」
作者 「ほっとけ。んで、今回みたいなのはパロディシリーズ。こっちの次回作も考えてあるよ」
光 「また長いの?」
作者 「んにゃ。ここまでは長くない。俺も疲れる」
輝美 「私も出れる?」
作者 「ん〜。今のところは予定なし」
輝美 「がぁぁぁん。うぇぇぇん、パパァ、おじちゃんがいじめたよぉ」
和輝 「よしよし」
光 「和輝君!年端も行かない少女を抱きしめないで!!」
和輝 「へ?」
琴子 「ヘンタイね」
美帆 「幼女趣味、ですか?」
和輝 「こらこら、せめて子供好きと言ってくれ。不埒な気持ちなど一切無いぞ」
輝美 「パパァ。ん〜」
和輝 「お前も目を瞑って、キスをねだるな!!」
茜 「最終回前の座談会なのに」
ほむら 「いいんじゃねぇの?作者もとめてねぇし」
作者 「あきれてるだけだよ。さ、泣いても笑っても次で最後だ。みんな気を引き締めて頼むぞ!」
みんな 「はい!」
チャンチャン
戻る