「ライトさん!パステルさん!!」
『ぬぅーっはははははは。やったぞぉ、ついに、ついに、あのにっくきツインビーどもを倒したぞ』
ツインビーとウインビーが力を失い、地面の割れ目に落ちて。
そして、上空には巨大な戦艦。その上で高笑いする、黒いマントを羽織った初老の男。
『お嬢ちゃん。その手の物を渡してもらおうか』
ヒカリの目の前には、形こそツインビーに似ているが、真っ黒な機体。
通称ブラックツインビー。黒マントの男が作成した機体だ。
それが手を伸ばし、彼女に迫る。
「ダメ。これが無いと、カズキが。世界も壊れちゃうの!」
ヒカリが後ろを向いて走り出す。
『またその話か。シーズ!その娘を捕らえるのだ』
『ハイハイ』
黒マントの男の命令に、ブラックツインビーに乗る男、シーズが答える。
逃げるヒカリの腕の中には、6色に輝く鐘。
「あっ!」
石につまずき転んでしまう。
鐘はしっかりと掴んだままだが、ブラックツインビーに追いつかれる。
『さぁ、いい子だから、俺にそれを渡すんだ』
「ダメ!これは、絶対に渡さない!!」
鐘を強く抱きしめるヒカリ。
突如、鐘が輝きだし、シーズは視界を光に奪われる。
『くそ、なんだこれは!』
ヒカリの胸の部分から、赤い光の球が生まれる。
そして、それは鐘に吸い込まれ、鐘は7色の輝きを取り戻した。
暖かい光が辺りを包む。
『シーズ。そこまでだぜ』
『シーズ君。女の子を泣かせるなんてダメだよ』
『シーズ。あなたをそんな風に育てた覚えはありませんよ』
光が収まると、3体のメカにシーズのブラックツインビーが囲まれている。
ライトの乗るツインビーとパステルのウインビー。
そして、シーズの姉、サリュートの乗る、もう一体のブラックツインビーだ。
「みんな」
『ヒカリ!レインボーベルが7色の輝きを取り戻したらしいな、さぁ、早く持っていくんだ』
『ここは私たちに任せて』
ヒカリが、レインボーベルを掲げると、空間が歪む。
「ベルスペースへ!」
ヒカリの声に呼応し、歪みがヒカリを包み込む。
歪みが収縮し、そこにヒカリの姿はなかった。
『くそぉぉぉ!今一歩のところでぇぇぇ!!』
『ワルモン博士。俺たちの話を聞いてくれ。こんな争いをしてる場合じゃないんだ』
『フン。どうせやることも無くなったんじゃ。聞いてやるから、茶菓子の1つでも持ってこい』
「メローラさん!」
ヒカリがメローラの前に鐘を掲げる。
「見つかったのですね。よかった」
「ヒカリ!」
「カズキ?でも、その格好は?」
メローラの隣にいる真っ黒な鎧に身を包む男。
顔も覆っている兜を脱ぐと、まぎれもなく和輝の顔だ。
ただし、その顔は傷だらけだ。
「ちょっとな。それにしてもよくやった。ありがとう」
和輝がヒカリを抱き上げる。
「あぁぁ。顔が傷だらけ。まったくもぅ。無茶しちゃだめだよ」
「ん。ごめん。でもあいつらのためなら、こんなのどうって事無いさ」
ヒカリが、和輝の傷をなぞる。
そして、そのまま顔を近づけ口付けを交わす。
「ん」
「カズキ。私はずっと一緒だからね」
「あぁ。さぁ、行こうか!」
和輝が仮面をかぶりなおす。
右手にレインボーベルを手に持ち、左手肩にヒカリを乗せる。
「あ、そうだ。あいつらの前では俺の名前は呼ぶなよ」
「うん。わかった。じゃあ、騎士様って呼ぶ」
メローラが和輝の鎧に手を当てる。
「どうか、よろしくお願いします」
「あぁ。行ってくる!」
『キエウセロォォォォォ!!』
辺りの空間が全て闇に包まれる。
「どうやら、ここがあの闇の体内らしいな」
和輝の周りには、親友がいて戦友がいる。
そして、その傍らには愛する少女が。
「ここまで来たんだね」
「あぁ。ここが正念場だぞ」
周りの闇、全てから魔物が飛び出す。
「ついに最後の戦いだね。ほむら、大丈夫?」
「あぁ、こんな美味しい戦いを逃がせられるかってんだ!」
「真帆ちゃん。行きましょう」
「うん。お姉ちゃん。私たちの力見せてあげようよ」
「和輝!光ちゃんを泣かせるなよ」
茜とほむら、美帆と真帆、それに匠がまず、最も数の多い前方の敵に向かっていく。
「光ちゃん、和輝くんこっちは任せて」
「スレア。ホーリー。あなたたちも来てくれたのね」
華澄とすみれの前に、獅子と虎が現れ、2人と2体が左方の敵に向かう。
「光。かならず、勝利を掴んでね」
「水無月さんのことは俺に任せろ!」
「勝って祝勝パーティを盛大に開くのだ。だから、絶対にみんなで帰るのだ!」
「美幸のラッキーを知ってるよね。だから大丈夫だよ」
琴子、純一郎、メイ、美幸が右方の敵に向かう。
「後方の敵は任せろ!!全部吹き飛ばしてやるわ!!!」
「おで、敵をつぶす」
「うっしゃぁぁ。燃えてきたぜ!」
「へ、俺の刀の錆にしてやるよ」
「和輝君。華澄と光ちゃんを泣かせちゃダメだぞ」
総番長率いる、番長四天王が後方の敵を迎え撃つ。
「私たちは、みなさんが先に進んだ後、少しずつ闇を消し去ります」
「がんばって。牧君はやればできるんだよ」
花桜梨と楓子が闇の中へ消える。
「光」
「うん。みんなの頑張りを無駄にしないようにしないとね」
2人は、闇の中央。
その核がある場所へ向かって駆け出す。
「邪魔だ!!」
和輝が飛び掛る魔物を一刀の元に伏せる。
「えぇぇい!」
光が遠くの魔物を力で燃やす。
「キリがないな」
「うん。でも弱音を吐いちゃダメだよ」
和輝が斬った魔物が、上半身と下半身、別々な2体の魔物になり襲ってくる。
「しまった!」
しかし、その2体の魔物は和輝のすぐ目の前で粉々に砕け散る。
「ふん。この程度の魔物に遅れをとるとはな」
和輝の目の前に現れる黒騎士。
その手には、自分の身長と同じくらいの巨大な剣。
「そこの少女。これを持っていくんだ」
「これは?」
光が黒騎士からレインボーベルを受け取る。
すると、辺りが暖かい光に包まれ、魔物たちの力が弱まる。
「闇を倒すための鍵だ。道は俺たちが切り開く。行け!!」
黒騎士が剣を縦に振リ降ろすと、その剣圧が力となり、敵を一直線に切り裂いていく。
「ありがとうございます。誰かはわからないけど、あなたも死なないで下さいね」
光が黒騎士に礼を言い、和輝と共に走り出す。
「今のが、騎士様の」
「あぁ、だが、今の俺にはお前がいる。行くぞ!俺たちの役目は、みんなを救うことだ!」
闇の中心部。
「ここに核があるはずだ」
「あ、あれ!?」
光が指差す先。そこには1人の赤子が浮いている。
まだ、生まれたばかりのようなその姿は、この場所にはもっともふさわしくない存在だ。
「あれが、核なの?」
「わからない。けど、そうとしか思えないな」
赤子が目を開く。
その下に眼球はなく、ただ赤黒い光を放つのみ。
「サクシャだ。あの赤ん坊はサクシャなんだよ!!」
「そんな。それじゃあ」
『ふっふっふ。我はついに本当の肉体を手に入れることが出来た』
赤子の口から、先ほどまで頭に響いていた低い声が発せられる。
闇がサクシャを始め、次々に生命の身体を乗っ取った理由。
それは、闇自身に実体が無かったためだ。
だが、それでも全ての力を解放し乗っ取れば、その生命体は力に耐え切れずに絶命してしまう
『我は待った。このサクシャと名乗る生命体に強靭な肉体が生まれるのを』
赤子の身体が成長を開始する。
『我の全てに耐えうる生命。それを成す事ができる能力を持ちながら拒みつづけたが』
その身体は、すでに和輝たちと同じくらいの年齢だ。
『ついに!全てが我に屈服したのだ!!』
成長が止まり、今度は変化が始まる。
体中の骨が折れる音。
奇妙な形に身体が折れ曲がり、新しい形を作っていく。
「和輝君」
「光」
2人は見守るしか出来なかった。
闇だけでなければ、レインボーベルの力がどう作用するのかわからない。
下手をすればサクシャの力を活性化させ、あげくには闇の力も活性化させてしまう結果となるやもしれない。
『素晴らしい。我だけの身体。我だけの身体だぁぁ!!』
巨大化し変化した身体は、すでにこの世の生命体とはとても思えないものだった。
まさに、悪魔。
腹部から巨大な牙を持つ口が裂け、巨大な腕や足は身体とはつながっておらず、頭は存在していない。
代わりに、奥の闇に、顔らしきものが生まれる。
『この世界では全てに名前があるのだったな。我は魔神。魔神メモラーだ!!』
言葉は、闇の顔と腹部の両方から発せられている。
「魔神だと。貴様のようなヤツが、神を名乗ってんじゃねぇぇ!!」
「私たちはみんなを!この世界を守るために戦う!!」
和輝が剣で魔神の右腕を斬りつけ、光が左腕に向かって炎を放つ。
しかし、逆に剣が折れ、炎は当たる直前に四散する。
『無駄だ。我を傷つけることなど何人たりとも出来はせぬ』
魔神が腹部の口を大きく開く。
すると、2人の後方から魔物たちが現れ、自らその中に飛び込んでいく。
「そ、そんな」
魔神は飛び込んできた魔物たちを噛み砕き飲み込む。
「光。レインボーベルだ!!」
「うん」
光がレインボーベルを掲げる。
発した光は辺りを包み、闇を光に変える。
『なんの真似だ』
しかし、それは一瞬のこと。
すぐにまた闇に戻ってしまい、魔神は全く変化を与えることが出来ない。
「和輝君」
「こいつは、少しやばくなってきたな」
魔物を吸収し、魔神の身体がさらに巨大化する。
そればかりか宙に浮く腕が3対6本に増え、それぞれの手に自らの骨で作り出した剣を持っている。
『矮小な存在よ。我をあがめよ』
「へ、嫌なこった。誰が貴様なんか、ぐふっ」
和輝の腹部に、白い剣が刺さっている。
魔神の腕の剣が一本なく、その腕は剣を投げるような姿で止まっている。
『矮小な存在よ。我をあがめよ』
「ふざけるなよ。絶対に俺は」
和輝が後ろに吹き飛ぶ。
その額から、すさまじい鮮血を噴きだしながら。
『我に逆らうものは全てこうなるのだ』
魔神が闇に飲み込まれていく。
倒れた和輝の周りはすでに血の海と化している。
この出血量では、すでに。
「いやぁぁぁぁぁ!!!」
和輝 「反則だろ、あの強さ」
輝美 「レインボーベル効かないの?せっかく持っていったのに」
ほむら 「確かにゲームにゃ、絶対に勝てないイベントとかあるけどよ」
茜 「限度があるよね」
メイ 「それに、そういうイベントはもっと最初の頃なのだ」
光 「えぇぇぇん。和輝君が死んじゃったよぉ」
和輝 「勝手に殺すな!!」
光 「死んでないの?」
和輝 「え。あぁ、多分」
光 「おなか貫かれて、頭から血を出してても?」
和輝 「うっ」
メイ 「珍しく、今日は作者が何も言わないのだ」
作者 「ん〜、実はね、今回の話、作ってるうちに内容変わっちゃった。テヘ」
ほむら 「テヘじゃな〜い!!」
作者 「いやぁ、本当はここまで圧倒的な強さにするつもりは無かったんだけど」
輝美 「じゃあ、じゃあ。和輝が死んで、騎士様の剣になるの。んでね、騎士様が私と一緒に魔神を倒すのは?」
作者 「ふむ。それもありか」
光 「えぇぇぇ。私ヒロイン降格っていうか、和輝君が死ぬの!?」
和輝 「俺はどっちも俺だけど、出来れば、騎士の方じゃなくて和輝の方で魔神を倒したいな」
琴子 「まぁ、私はどうでもいいわ」
美幸 「美幸は、もうおなかすいちゃった。帰っていい?」
作者 「連帯感のないやつらだ」
ほむら 「後2話で終わるのかよ」
作者 「それは大丈夫。グットかバットかハッピーでちゃんと終わらせるから」
茜 「お願い。バットエンドだけはやめて」
チャンチャン
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