ベットの上で華澄が目を覚ます。
見たことの無い、真っ白な天井。
「見知らぬてん」
「ストップ!」
華澄の言葉をさえぎるように真帆が手で口を封じる。
「華澄さん。それは言っちゃダメだよ」
「あなたは、確か白雪さん?」
「ううん。妹の真帆。そっくりでしょ。でも、おっぱいは私の方がでかいんだよ」
腰に手を当て背をそらし、胸を強調する。
椅子に座っている彼女の膝の上には、剥きかけのりんごが乗っかっている。
「えへへ。私、あまりこういうの得意じゃないんだよね」
そう言って差し出したりんご。
だが、明らかに皮についている実のほうが多いだろう。
「ところでここは?」
「病院。って言っても、普通の病院じゃないけどね。私たちの世界とは別な世界だし」
華澄が起き上がり辺りを見回す。
たしかに、病室といった感じの部屋だった。
ただ、彼女には何があったのか全然覚えてない。
「私は。そう、魔王に操られてそして」
真帆の顔を見る。
「うん。私の腕が華澄さんの胸を貫いて」
真帆がうつむいてしまい、沈黙が訪れる。
りんごを噛む音がその沈黙をやぶる。
「ん。甘い。じゃあ、ここは天国なのかしら?」
「え?あ、ううん。私たち助かったみたい」
楓子と花桜梨の2人は、次々と魔王軍とヒビレンジャーを助けていった。
身体を修復し、精神を戻し。
もちろん、記憶は残っているからそれに悩む人たちへはそのケアも怠らない。
「そうなんだ。よかった」
「ごめんなさい!」
急に真帆が華澄に向かって謝る。
「私、華澄さんたちをを苦しい目にあわせちゃって」
「ううん。いいのよ。こうして生きていることが出来たんだから」
華澄が真帆を抱きしめる。
真帆の涙で、華澄の着ているものが濡れていく。
「けど、私たちはこれからどうなるのかしら」
「ん。あ、後で私たちを助けてくれた2人がみんなに説明するって」
「そう」
華澄がもう一切れりんごを口に入れる。
「みんな」
華澄が真帆に連れられ、ロビーに出る。
すると、そこには多くの人が集まっていた。
「麻生先生!」
美帆と琴子が、華澄の胸に飛び込んでくる。
2人とも華澄のことが心配だったのだ。
「ごめんなさいね。心配かけちゃって」
「一番最初に運んできたのに、一向に目覚める気配が無いんだもんね」
「えぇ。もう死んでしまったのかと」
楓子と花桜梨が空から降りてくる。
その手には、目を瞑った茜と匠が抱かれている。
「あなた方が私やみなさんを。どうもありがとう」
華澄が2人に向かって頭を下げる。
「ううん。あの人の頼みなら。ね、カオリン」
「カオリンと呼ばないでって言ってるでしょ」
茜と匠の身体を、床に寝かせる。
身体は綺麗だが、胸が動いていない。眠っているというより死んでいる感じだ。
「貴様。茜に何をした!」
総番長が楓子に詰め寄る。
「何もしてないもん。これからするけど」
「これから、魔王との最終決戦がはじまります」
一文字茜と伊集院メイ。そして坂城匠との死闘が、ロビーのモニターに映し出される。
メイが5体の土人形を爆破し、アカネの左腕が吹き飛ぶ。
「茜ぇぇぇぇ!!」
「番長!下がってください」
番長四天王により、引きずられ後ろにさがる総番長。
モニターではちょうど、アカネがメイに撃たれ、絶命したところだった。
「楓子」
「うん」
楓子が目を瞑り、手のひらを胸の前で合わせると、彼女の前に黄色い半透明なヒトガタが現れる。
花桜梨が、そのヒトガタを、床に寝ている茜の身体に押し込む。
「ふぅ。これで茜さんは大丈夫ね」
「あ、メイさんとすみれん。ほむらさんの身体が出来たみたい」
「じゃあ、取りに行きましょう」
2人の身体が一瞬消え、現れる。今度は手に、メイとすみれ、それにほむらの身体をもっていた。
「あ。伊集院さんが!」
「純、あなたの親友。サイテーね」
「あれはアイツの本心、じゃ無いと、思うけど」
純の言葉が段々と小さくなっていく。
口では本心じゃないと言っているが、さてその真相は。
「いい。今度はほぼ2人同時よ」
「大丈夫だよ。任せておいて」
モニターの中で匠が群がる蝶に全てを吸われ消え、メイも力尽きる。
「今よ」
先ほどのように、集中すると、今度は楓子の前に2人のヒトガタが現れる。
「ダメ!安定してないわ。もっと」
「んっっっ」
先ほどより、色の薄い2体のヒトガタを何とかこの世界に定着させようと気合をいれる楓子。
しかし、その色は徐々に薄くなり、消えかける。
「頑張って。力を貸すわ」
華澄が後ろから楓子の肩に手をかける。
そして、同じように目を瞑って集中する。
「すごい。この力なら」
2体のヒトガタは一気にその色を取り戻す。
先ほどの茜の時以上の色。形もはっきりして、それが匠とメイだとわかる。
花桜梨がそのヒトガタを2人の身体に押し込む。
「ふぅ。これで大丈夫よ。華澄さん、ありがとうございました」
「華澄さん、すごいよ。あんなことが出来るなんて」
花桜梨と楓子が手放しで誉める。
この場に華澄がいなかったら、匠とメイは、本当に死んでしまっていたかもしれない。
「あれは、野咲さん」
モニターの場面が切り替わり、今度はすみれとホムラがバトルを繰り広げている。
「華澄さん。今度も2人です。力を貸してください」
「えぇ。もちろんよ」
「チェックメイトだよ」
炎の中から光が飛び出し、魔王の首筋にサーベルを突き立てる。
「ふふふ。強くなったな。あの時とは見違えたぞ」
「あなたを封印します」
光の変身が解ける。
その姿はいつもの私服ではなく、何も身につけていない状態。
生まれたままの姿で、魔王の目を見据える。
「和輝君。いま、助けてあげるね」
光が魔王を顔を掴み、口付けをする。
しかし、光が予想していたこととは違い、闇が現れない。
「どうして」
「ん。光。もういい」
魔王が、光の身体を自分から離す。
そして、自らの手に握られていた剣を、自分の胸に刺しこむ。
「くぁぁ」
「和輝君!?」
深々と刺し込んだ剣を抜くと、そこから血と共に黒い塊が出てくる。
「闇?どうして?私は」
「ダメだ。こうしないと、お前が命を落とすだろ」
魔王が光に向かって微笑む。
「和輝君、なの?魔王じゃなくて?」
魔王、いや和輝が首を小さく縦に動かす。
「どうして!?何時から気がついてたの!?だって、私」
「俺の心が戻ったのはついさっきだよ。そして、俺の記憶にはもう1つのものがあるんだ」
和輝のもう1つの記憶とは、もう1人の和輝の記憶。
河川敷公園で2人が会ったあの日。頭に走った衝撃は、この瞬間、全てを知るためだったのだ。
「魔王を。闇を完全に倒すために。俺は戻ってきたんだ」
和輝の身体の血が止まっていく。
「和輝君」
「光」
和輝は、光を抱きしめる。
傷だらけになりながら最愛の人を助けようとした光。
その光の胸はいま、暖かさで包まれていた。
「寿さん」
後ろで今にも和輝の身体を手刀で貫こうとしていたミユキの手が止まる。
「え?」
「ごめんな」
光を離し、後ろを振り返る。そして、ミユキの胸の部分に手をあて、力を込める。
「っごふ」
ミユキが大量の血を吐き出し、その場に崩れ落ちる。
「神経を先に止めたから、痛みは無いと思うけど」
「和輝君?どうして」
「こうするしかなかったんだ。それに、もうすぐ」
ミユキのすぐ側の空間が歪み、そこから楓子と花桜梨が現れる。
「牧君ご苦労様」
「すみません。最期にこんな汚れ役を」
「ううん。2人には感謝してるんだ。ありがとう」
2人が瀕死の美幸を抱き上げる。
ミユキの身体から、黒い煙のようなものが飛び出し、四散する。
「彼女は必ず」
楓子と花桜梨がまた、歪んだ空間の中に戻っていく。
「さて。あとは、あの闇だけだな」
和輝が振向くと、地に落ちた闇は血を吸い、少しずつ大きくなっていく。
「和輝君。よくわからないんだけど」
「後で説明するよ。今は、あの闇を何とかしないと」
「あ。うん。わかった」
闇は、徐々にその力を取り戻し、ゆっくりと2人の方に這ってくる。
「行くぞ!雷よ!!」
「転身!!はぁぁ!ドラゴンフレア!!」
和輝の放った雷が闇を貫き、光の炎が闇を包み込む。
「やったの?」
しかし、闇はその雷と炎を吸収しさらに大きくなる。
そればかりか、2人に向け、雷と炎が闇から発せられる。
「光!」
和輝が光を抱きしめ、横へ飛ぶ。
そのまま回転し、立ち上がる。
「やっぱりアレが無いと無理か」
「アレ?」
今度は闇の中から無数の魔物が出てくる。
それが、一斉に2人に対し、襲い掛かってきた。
「やばい!」
さすがに数が多すぎる。2人で何とかできるようなものではない。
その中の2体が、先陣をきり、2人に飛び掛る。
「彼氏失格ね」
「ならメイがもらうのだ」
突然現れた、琴子とメイの斬撃と銃撃に倒れる2体の魔物。
「あら、私も欲しいですわ」
「こらこら、そういう話は後にしなさい」
「あ、その時は私も入れてくださいね」
美帆が手を振るうと、鉄の鞭が複数の魔物を一箇所に縛り付ける。
そして、そこに華澄とすみれの放つ、水と氷の槍が突き刺さる。
「ったく、アタシとしたことが正義を忘れるとは」
「ホントだよ。ま、ボクも人のこと言えないけどね」
「美幸はぁ。なんかねぇ、牧君と一緒にいれたのはよかったかなぁ」
「うんうん。それは確かにあるね。結構気持ちよかったし」
ほむらと茜が直接打撃で魔物を蹴散らし、美幸と真帆はその2人を力でサポートする。
「ぬん。遅れをとるな!行くぞ!!袖龍砲!」
総番長が放つ龍が魔物たちを食い荒らす。
『おぉぉぉ!!!』
筋肉番長が魔物を投げ飛ばし、空中で火の玉番長がめった打ちにする。そして落ちてきたところを木枯らし番長が細切りだ。
「なら私だって」
バイト番長こと九段下舞佳が懐からヨーヨーを取り出し、魔物を貫く。
「はいはい。いっくよ〜!」
「真・不動明王唐竹割りぃぃぃ!」
匠が銃を乱射し、それを逃れた魔物を純一郎が切り裂く。
「あらかた方がついたね」
「ふぅ。これだけの人数を運ぶと一苦労ね」
最後に、楓子と花桜梨が姿を現す。
「みんな、生きてたんだ」
「あたりまえよ。あなたを置いて死ねるわけないじゃない」
琴子が光を抱きしめる。
「6人組の新生ヒビレンジャーの誕生なのだ!」
「アタシたちも、新しい魔王。んにゃ、和輝四天王だぜ!」
光がみんなとの再会を喜び涙を流す。
『キエロ』
全員の頭に、ものすごく低い声が突き刺さる。
『キエウセロ』
闇が段々と大きくなる。
「出来るものならやってみな!」
「そうだよ!みんながいれば、あなたなんて!!」
和輝と光がみんなの前に立ち、闇を見据える。
『スベテキエウエロォォォォ』
光 「おぉぉぉぉ」
華澄 「どうしたの?」
光 「ううん。思ったよりもちゃんとした理論でみんなを生き返したなぁと思ったの」
琴子 「まぁ、あの予告編よりはましね」
作者 「それは、お前らが勝手に予想してただけだろうが」
琴子 「そうだったかしら」
匠 「はい質問。俺は一回死んだのに、なんでその時に魔王の種が壊れなかったの?」
作者 「ん。前の話で言ったが、あれは精神体に埋め込まれるものなんだ」
メイ 「つまりは、本人が死んだと思ったときにはじめて壊れるのだな?」
作者 「うん。で、君は最初は死ぬつもりが無かったから、身体は死んでも魔王の種は壊れなかったんだよ」
匠 「ふぅん。ちゃんと考えてあるんだ」
作者 「バカにしてるのか?」
和輝 「まぁまぁ。にしても、ついにそろったな」
光 「うん。ハッピーエンドの予感」
琴子 「それはどうかしらね」
ほむら 「この作者のことだ、どうかはわかんねぇぞ」
茜 「うんうん」
美幸 「美幸はぁ、ケーキ食べれなかったからどうでもいいやぁ」
美帆 「そういえば、そんなことを以前」
作者 「打ち上げで好きなだけ食え!」
真帆 「私、焼肉がいいなぁ」
花桜梨 「私は肉よりもお野菜のほうが」
すみれ 「ハンバーグぅ」
楓子 「えっと。牧君を」
みんな 「おぃ!!」
チャンチャン
輝美 「ふぇん。出番無かった」
メローラ「次はきっとありますよ」
チャンチャン
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