轟音が光のいるところにまで聞こえてくる。
「すみれちゃん」
 光は今、螺旋階段を上っているところだ。
 この先に魔王が。和輝がいる。
 光の中にはその確信があった。
「え!?」
 螺旋階段を上った先。
 奥には巨大な扉が。しかし、そこまでの通路は今にも崩れてしまいそうだ。
 突然の更なる轟音。
「きゃっ」
 通路が巨大な雷で貫かれる。
 それにより、崩れかかっていた通路は、ついに崩壊をはじめる。
「ダメ。早く渡らないと」
 光が走り出す。
 崩れるゆく通路。
 その速度が徐々に増していき、ついには光の前方に巨大な穴が開く。
「えい!!」
 まるで幅跳びのような綺麗なジャンプ。
 3年間の陸上選手としての集大成のようなものだ。
 着地した地点が崩れる。
「やぁぁ!」
 バランスの崩れた状態での垂直のジャンプ。
 なんとか、崩れる心配の無い場所の端につかまることが出来た。
「ふぅ。ここで、半分か」
 残り半分は、まだ崩れてはいないが、こちらも少しの振動で崩れそうだ。
 自分の心を落ち着かせる。
 そして、クラウチングスタートの構え。
 スパイクも何も無い状態でどれだけのスピードを出せるかはわからなかった。
「けど。大丈夫よ光。オン・ユアマーク」
 自らで自己暗示のようにつぶやく。
「レディー」
 腰を挙げ、前方を見据える。
「ゴー!!」
 声と同時に飛び出した。
 そのスピードは、まさに風。
 後方から崩れ落ちていく床よりも、速く駆け抜ける。
 光が気がついた時には、門の前に立っていた。
「ここの奥に和輝君が」
 後方で全ての床が落ちさる音がする。
「もう、後戻りはできないんだね」
 光が、門に手をかけ、ゆっくりとそれを開いていく。
 奥にある玉座の上。
 そこには魔王が目を瞑り座っている。
「ついにここまで来てしまったのか」
「和輝君を元に戻すって。そして魔王を。ううん、あなたを封じるって決めたから」
 魔王が立ち上がり光を見つめる。
 その目にはどこか、哀れみと悲しみ。そして愛しさが含まれているように感じ取れる。
「我を封印する方法は知っているのか」
「うん」
 力強くうなずく。
「それがどんな結末を生み出すのかも」
 光が仮面をはずし素顔をさらす。
 そこには全てを決め、覚悟をした顔だ。
「そうか」
 魔王が左手を光の方に差し出す。
「ならば、こい。貴様と我。どちらが強いか。最期の勝負だ」
 その左手に一振りの剣が現れる。
 それを見て、光もサーベルを抜き構える。
「やぁぁぁ!」
「ぬん!」
 光の縦からの一閃は、横に構えた魔王の剣で払われてしまう。
 光は飛ばされながらも、隙をうかがい、今度は足元を狙う。
「せい!」
 低い姿勢からの、足首をねらった横薙ぎの攻撃。
 魔王は、バックステップでそれをかわす。
 しかし、それをあらかじめ予測していた光は、低い姿勢のまま魔王を追いかる。
「ファイヤーウォール!」
 魔王の足元から火の壁が立ち上がる。
 後ろに避けたが、一瞬遅く、炎で黒いマントが焼け落ちる。
「チェックメイトだよ」
 炎の中から光が飛び出し、魔王の首筋にサーベルを突き立てる。
「ふふふ。強くなったな。あの時とは見違えたぞ」
「あなたを封印します」
 光の変身が解ける。
 その姿はいつもの私服ではなく、何も身につけていない状態。
 生まれたままの姿で、魔王の目を見据える。
「和輝君。いま、助けてあげるね」
 光が魔王を顔を掴み、口付けをする。
 すると、魔王と光の口の間を、黒いものが通り抜ける。
「ん」
 それが、光の身体の中にはいりんでいく。
 その正体は闇。サクシャを取り込み、今まさに和輝を取り込まんとしてもの。
「ひ、光」
「和輝君」
 闇の抜けた和輝が光を抱きしめる。
 体温が急激に下がっていくのがわかる。
「どういうことだ!なんでこんなことに!!」
「この闇が、元凶、なの。だから、私が」
 光の身体を侵食していく闇。
「さようなら。和輝君。あい、して、る」
 光の身体から力が抜ける。
 これが先代から授かった闇の封じ方。自らの命と引き換えに、闇を消し去る方法。
「光。ひかりぃぃぃぃ!!」
 光の身体から、黒い球が生まれる。
「これが、闇。俺の中に巣食っていた悪魔」
 その球は徐々に空気中に分解し、消えていく。
 しかし、和輝の脳裏に不安がよぎる。
「ダメだ。これじゃあダメなんだ。あれが」
 和輝の言葉が途中で止まる。
 代わりに血液が、口の中からあふれ出る。
「あはぁ。みんな死んじゃったんだね」
 和輝の耳元で声がする。
「ん〜。和輝君の身体って温かくて気持ちいいよ」
「お、お前は、ミユキ?」
 ミユキは自らの手を、和輝の背中に刺しこみ、内臓を握りつぶす。
「な〜んで、生きてるのかって不思議な顔をしてるねぇ」
 ニコニコ顔で和輝の顔を覗き込む。
「答えは簡単。あれはただの人形。そっくりだったでしょ。あの時のでっかい炎の中で交代したの」
 光と琴子の協力技。サンフレア。その中でそんなことが可能だったとは。
 何故と問いただしたいが、口の中に広がる血が邪魔をして言葉にならない。
「もちろん。魔王さまを消させないためだよ。もっとも〜、アレが無かったから問題ないみたいだけどね」
 闇の球は、すでに分解がとまっている。
 それどころか、和輝の血を吸い込み、その大きさは先ほどよりも大きくなっているくらいだ。
 ミユキが手を抜き、闇の球に手を触れる。
「さぁ。魔王さま。極上の闇と光の贄。それを喰らって私と一緒に。え?」
 ミユキの手が闇の球に飲み込まれる。
「そ、そんな。魔王さま。ミユキは、ミユキはぁぁぁ」
 ミユキが涙を流し、闇から必死に手を抜こうともがく。
 しかし、好物を捕らえた肉食獣のようにミユキを放そうとはしない。
「!?あ、あぁ。きゃぁぁぁぁ」
 闇が巨大な口のように大きく広がり、ミユキを包み込む。
 ミユキを取り込み、闇の球はさらに大きくなる。
 そして、次の獲物を見つけ、喰らうために動き出す。
 光と闇の贄。
「ま、さか。ひか、りとお、れ」」
 光の足に、闇が喰らいつく。
「はな、せ」
 和輝が光と闇を放そうと引っ張るが、逆に倒れこんでしまう。
 常人ならすでに死んでいてもおかしくは無い出血量だ。
 魔王であった時の力が残っているとは言え、すでに動くこともままならない。
 ひかりが、ゆっくりと闇に飲み込まれていく。
「ひ、かり。ご、めん、な」
 和輝の目の前が暗くなる。
 それが、自らの生命力がなくなったのか闇にのまれたのか。
 彼にはわからなかった。




作者  「第1部完!!」
光   「えぇぇぇぇ!?」
和輝  「全滅!?本当に全滅!?」
美幸  「私も食べられちゃったぁ。バクって。もう美味しそうに」
琴子  「救いようの無い内容ね」
美帆  「第2部もバットエンドだったらどうしましょう」
真帆  「まさか、そんなことはないでしょ」
作者  (ニヤ)
すみれ 「う。うわぁぁぁぁん。怖いよぉぉぉ」
メイ  「泣かしちゃダメなのだ!」
ほむら 「てぇぇい!ドラゴンキーック!!!」
茜   「作者さん、ノックアウト」
華澄  「それにしても、どうするんでしょうか。まだ台本もらってないんですけど」
純   「俺は出番あるのか?」
匠   「そうだよねぇ。俺たちってけっこうなさそうだよね」
??? 「やっと、私たちの出番ね」
??  「えぇ。でも、あまり出番は多く無さそうなんですよね」
??  「私もでるんだよ」
みんな 「誰。君!?」
作者  「てなわけで、第2部をお楽しみに」




「ん。ここは」
 壊れた天井の隙間から光が刺しこみ、男を照らす。
 男は目を覚ますと、頭を押さえる。
「なんだ。頭が痛い」
 辺りを見回すが、何もない。
 ただの瓦礫の山と、所々壁が壊れ、外が見えるだけ。
「俺はどうしてここに」
 男がゆっくりと記憶の糸をたどる。
「名前。牧和輝。年齢。18。職業。ん、あ!」
 全てを思い出した。
 幼馴染みの少女との戦い。
 そして、死
「ちょっと待て。俺はなんで生きてるんだ」
 どう考えてもおかしい。
 仮に闇に飲まれてないにしても、内臓をミユキに壊され、あの出血だ生きていられるわけが無い。
「背中には傷はないか」
 背中を触るが、傷もなにもない。
 立ち上がり、壁の割れ目から外を見る。
 一面の砂漠。ただ、所々、壊れたビルや建物の跡が見える。
「どこだよ。ここ」




和輝  「俺だけ残業かよ」
作者  「ほら、これで第2部を見たくなる人が増えるかなって」
和輝  「なんで俺が生きてるんだ?光は?あと、あの魔王は?」
作者  「言えるわけないだろ」
和輝  「なぁ」
作者  「ん?」
和輝  「これって旧猿の惑星のラストみたいな感じの場所か?」
作者  「ん、そうだね。風景としてはそんな感じかな」
   チャンチャン
 
 

 戻る