「マホ!何処にいる!!」
魔王宮の通路を、大声を出しながら女が走り回っている。
「うるさいなぁ。なに?」
女の前方に影が生まれ、そこからマホが姿をあらわす。
道化師の格好で、顔には同じく道化師の面。
「あんた、カスミを殺したんだってね」
「えぇ」
「カスミは私の親友だった。それを」
女の拳が握られ、マホに向かってそれが飛んでくる。
「マイカだったっけ。あなたの力じゃ私は倒せないわよ」
マホに向かって伸びる腕は、肘のところで綺麗に切断される。
いつの間にか、マホの手には巨大な鎌が握られていた。
「私を倒せる程度に強くなったら、また話を聞いてあげる」
そう言いって、影に飲み込まれていく。
「それじゃあ、サクシャはその闇に飲まれて魔王になったって言うの?」
「はい。光さんの話だとそのようです」
華澄との戦いの3日後、4人はメローラに呼ばれベルスペースにやってきた。
今までのことを整理しこれからのことに備えるためだ。
「魔王とは、サクシャでも和輝さんでもなく、その闇だったのですね」
光が経験したあの闇に飲み込まれるサクシャ。
しかし、その闇の正体そのものはさっぱりわからない。
「わからないことといえば、あの時の紫は誰なのだ?」
「あ、そういえば」
華澄との戦いで、最初のピンチを救ってくれた人物。
「見た目はヒビレンジャーと一緒でしたけど。紫ですし。それにブレスレットはもうないのですよね?」
「えぇ。あなたたちの5個以外は」
「なら、先生の腕輪かしら。あの時はつけていなかったから誰か拾った人とか」
「それはないのだ。先生のブレスレットは先生の部屋で発見したのだ」
華澄のブレスレットは、彼女が泊まっていた部屋の机の中に入っていた。
今もまだそこに入っているはずである。
「あ。100年前のは?私がもらったのは無くなっちゃったけど」
メローラが考え込む。
「たしかに、それならあるかもしれません」
「じゃあ、100年前の戦士の子孫でしょうか?」
5人は悩む。答えなど今の情報では決してでないのだが。
「ただ、早く5人目を見つけなければなりませんね」
「どうしてですか?」
「ヒビレンジャーは5人そろった時に、初めて本当の力が引き出せるのです」
4人は顔を見合わす。
確かに過去を思い出すと、5人そろった時がもっとも強い力で戦うことが出来ていた。
「あの紫。仲間になってくれればいいのだ」
空間に歪みが生じ、中からツインビーとウインビーが出てくる。
「メローラ姫。パトロール終わったぜ」
「今日も異常なし」
「ご苦労様です」
2機がゆっくりと下りてくる。
ハッチが開き、そこから出てきたのは、もちろんライトとパステルだ。
「この2人は誰なのだ?」
「あ、自己紹介してなかったな。俺はライト。んで、こっちがツインビー。キミ達とは別な世界の住人だよ」
「私はパステルです。こっちはウインビー。今はメローラ姫の依頼で、この世界の周りの警備を行っているの」
2人の簡潔な自己紹介が終わる。
ただ、どうやら光たちのことはメローラから聞いていたようだ。
「それにしても。やっぱ、美人のお姉さんたちはいいよなぁ」
「お兄ちゃん!」
ハリセンで叩かれるライト。
どの世界でも突っ込みのハリセンは共通のようだ。
『ライト。少しは自粛するビー』
『全くだビー。パステルにマドカにサリュートに。それだけいれば十分だビー』
ツインビーとウインビーもあきれてしまっている。
「おぉ。喋ったのだ!?人工知能なのか?それに自由に動くし。すごいのだ!!」
「けど、自分が搭乗する機械人形に諭される搭乗者っていうのは、情けないわね」
メイはツインビーやウインビーの未知の科学力に目を輝かせ、琴子はライトに対して呆れ顔だ。
美帆とメローラはいつも通りのニコニコ顔。
ただ、光の表情だけは明るくならない。
「どうしたの光?」
琴子が光の顔を覗き込む。
メローラも同じように光を心配している。
「ううん。どうすれば和輝君を元に戻してあげれるのかなって」
メローラと琴子の表情も暗くなる。
「華澄さんも死んじゃって。段々とわからなくなってきたの。これでいいのかなって」
「光。私はあなたの味方よ。何があっても。あなたがあの男を元に戻したいというなら、それを手伝うわ」
「うん。ありがとう」
琴子が光を抱きしめる。
「光さん。和輝さんを元に戻す方法。いえ、和輝さんを分離しサクシャのみを封印する方法なのですが、私にはわかりません」
「そう、なんですか」
「しかし、100年前の戦い。その時の巫女なら何かわかるかもしれません」
メローラが目をつぶり過去を思い出す。
100年前、魔王は最期の瞬間ある少女に乗り移った。
魔王と戦っていたヒビレンジャーのリーダーに。
しかし、結果として封印されたのは魔王のみ。彼女の身体は封印されてはいなかった。
「だから、100年前の巫女。いいえ、先代のヒビキノレッドを見つけ出せれば」
「けど、100年前の人間なんてもう死んでるんじゃ」
「ううん。生きてるよ。だって、校長先生だって生きてたんだから」
ひびきの高校の校長である爆裂山和美。
彼はヒビキノブラウンとして、過去の大戦を戦い抜いた男だ。
「巫女の名前はヒカリ。神楽ヒカリと言います」
「同じ名前」
「場所はわからないの?」
「ごめんなさい。魔王に発見されないために結界を張っているみたいで」
そう、過去の巫女を魔王も探している。
それが何のためなのかはメローラも知らない。
今、光の胸には、4人になってしまった不安と和輝を元に戻す方法がわからない恐怖が渦巻いている。
「けど、まだ頑張れる」
誰にも聞こえないような小さな声でつぶやく。
「アカネ」
「ん。あぁ、タクミじゃないか。どうした?」
アカネが魔王宮の通路を歩いていると、後ろからタクミに声をかけられた。
「実は敵の拠点らしきものを見つけてね。ただ、2箇所あってさ。俺1人だと両方は無理なんだよ」
「そっか。じゃあ、ボクの魔幻闘士を使っていいよ。そこらの魔物よりは役に立つし」
「ありがと。そう言ってくれて嬉しいよ」
タクミはアカネを抱きしめ壁際にもたれかかる。
そして、その柔らかい唇に口付けをする。
「ん。バカ。こんなところでダメだよ。その作戦の後までお預け」
「ちぇ、残念。それじゃあ、魔幻闘士は借りていくよ」
「うん」
『ライト!何かがこっちに近づいてくる』
ベルスペース内でツインビーが叫びをあげる。
いや、叫びというよりは警告か。
「お兄ちゃん」
「あぁ」
ライトとパステルが、各々ツインビーとウインビーに乗り込む。
空間が歪みそこから3人の男が現れた。
「お、おでのなまえはチョウジ」
小柄な下半身にすさまじい筋肉の上半身がのっかった感じのアンバランスな男。
「俺はコウジだ!燃やされたい奴かかってきな!!」
男の腕につけた鉄甲を合わせるたびにそこから炎があがる。
「俺の名前はアキバ。貴様らの血。刃の錆にしてくれよう」
最もやせた男は、自分の身長の数倍はあろうかという長刀を別な空間から抜き出す。
3人の男はそれぞれ構えを取る。
「琴子、私たちも」
「お姉さんたちは休んでていいよ。ここは俺たちがやるって」
光たちを静止し、ツインビーが敵に向かって駆け出す。
『ピコハンマー!!』
ツインビーの手にハンマーが現れる。
しかし、それは木や鉄で出来てるわけではなく、おもちゃのピコピコハンマーに見える。
「はん。そんなもので俺たちがやられるかよ」
「へっへ〜。行くぞツインビー!!」
『ビー!』
ツインビーの手にもたれたピコピコハンマーがコウジの脳天にヒットする。
《ピコ》
しかし、当たっただけでとてもダメージがあるようには見えないのだが。
「や、やるじゃ、ねぇ、か」
コウジはその場に倒れ塵になってしまう。
「こっちもいくよ!ウインビー」
『はいだビー。プリンアラモード!』
ウインビーがリボンを手に持ち、回転をはじめる。
まるで新体操の選手のような動きだ。
「その程度の紐。俺に斬れぬわけがなかろう」
アキバが刀を振るい、リボンを切ろうとする。
しかし、その刀の筋にあわせリボンが柳のごとく揺れ、斬れるどころか、逆に刀が絡め取られる。
「ぬぬ」
「いっけ〜」
回転はさらに高速化し、アキバの身体は無数のリボンで叩かれ宙に舞う。
「ふ、不覚」
そのまま地につくことなく塵となって消えた。
「あ、あんなの、でたらめよ」
「強すぎるのだ」
4人は呆然と戦いを見つめる。
「パステル、久しぶりにあれ、行くぞ」
「了解。遅れないでよ」
ツインビーとウインビーがそれぞれ手を取り合う。
『ガッチンコ!』
ライト、パステル、ツインビー、ウインビーの声が綺麗にハモる。
と、同時に、火打石のように打ち付けられたツインビーとウインビーの身体から、巨大な火球が飛び出す。
「ぬ、ぬぉぉぉ」
火球はチョウジを飲み込み、四散する。
その跡には何も残ってはいない。
「イェイ」
「やったね」
「ねぇ、魔王と戦うのって私たちじゃなくて、彼らの方がいいんじゃない?」
「うん。私も今そう思ってた」
4人の目は完全に点だ。
あまりにも力の差がありすぎる。
「それが無理なんだよ。俺とパステルはいいけど、ツインビーたちはお姉さんたちの世界には長くはいれないんだ」
「そうなんだ」
「他人に頼るなって事なんでしょうか?」
ツインビーやウインビーは意思を持つマシンだ。
そのため、他世界でのその電脳への影響は未知数。
とりわけ、光たちの世界ではその影響は大きく、数分で電脳がいかれてしまう。
「大丈夫ですよ。光さん。頑張ってください」
「そうそう。落ち込んでたら、出来るものも出来なくなるんだぜ」
「うん。よぉーし、頑張るぞ」
「あそこに入れば、私にもっと力をくれるんだな?」
「うん。マホにも負けないほどの力をね」
「わかった」
マイカがゆっくりと洞窟に近づく。
洞窟の入り口まであと1歩と言うところで、巨大な雷がマイカを襲う。
「きゃぁぁぁぁぁ」
「もう少しだよ。頑張って。って、あぁ。もう壊れちゃった」
先ほどマイカが立っていた場所には黒い影が残るのみ。
「やっぱり、ダメか。彼女に任せるしかないのかな」
茜 「なんなんだ!」
作者 「どうした?」
茜 「どうしたもこうしたもないよ。なに、この番長四天王の扱い」
作者 「捨て駒?」
舞佳 「私、これでも隠しヒロインの1人なんだけどなぁ」
茜 「まったくだよ。ひどすぎ。と言うかツインビーチームをひいきしすぎ」
光 「うんうん。いくらなんでもピコピコハンマーがあんなに強いわけないよ」
ライト 「いや、本当に強いんだけどね」
匠 「俺も納得できないな。なんであんなに黒い性格なんだよ」
和輝 「お前にはぴったりだと思うけど」
匠 「えぇぇ!?」
作者 「でしょ。それに美味しいところもっていったし」
和輝 「まったくだ。一文字さんの柔らか唇を」
匠 「あれはしてないの!お前とは違うんだ」
茜 「そうだよ。ボクの唇はボクだけのものだからね」
作者 「ナルシス?」
茜 「なんでそうなるのさ。もぅ」
??? 「あの〜」
作者 「ぎくっ」
??? 「どうして私出てないんですか?」
作者 「あ、て、手違いと言うかなんというか」
光 「いいかげんだね」
琴子 「いいかげんね」
??? 「泣いちゃいますよ?」
作者 「ごめんなさい。次回ではなからず」
チャンチャン
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