魔王宮の王の間。
 この日は宴が開かれていた。
「こちらの役者はそろったわけか」
 間の中心で舞を踊る4人の少女。
 その周りでは、大小様々な怪物たちがそれを見ている。
「久しぶり」
「俺たちを選んでくれて嬉しいよ」
 王の玉座に音もなく背後から近づく男が2人。
「タクミ、ジュン。これからもよろしく頼むぞ」
「あぁ。今までに無いほどの快楽、楽しませてもらうよ」
「俺はあの人を俺のものにする。そのためのこの力、お前のために」
 2人は現れた時のように音もなく消える。
 宴の間が徐々に騒がしくなる。
「何事だ」
「ボクの配下、ちょっと気が短くて」
「なるほどな」
 先ほど舞を踊っていた少女の1人、アカネが王の隣で応える。
『キサま、おレさまにサカらうノか』
「アカネに手を出すとは、いい度胸だな!」
 中央では、高さ3メートルはあろう巨人と対峙する大柄な男。
 その目はにらみ合い、まさに一触即発といったところだ。
 巨人が先に動く。
 その巨体から繰り出される拳は、まさに鉄槌。
「わぁ。ミユキの〜、ゴーレムよりでかいかも〜」
 男はその拳を片手で軽々と受け止める。
「この程度か」
『なンダと』
 男が拳をはじき、腹に蹴りを叩き込む。
 巨人はその蹴りのたったの一撃で即死する。
「ほう。ジャイアントを一撃か。なかなかやるな」
 すでに死亡した巨人は後ろに倒れ、その口から内臓が吐き出る。
 その死体と内臓は、周りにいた獣形の魔物に即座に食われ、骨すらも残すことは無かった。
 宴はこれで興奮が最高潮に達する。
 いたるところで戦いがはじまり、強いものが弱いものを食す。
「あら。これじゃあ、みんな死んじゃうじゃない」
「この程度で死ぬような奴は、アタシたちの配下にもいらないよ」
 マホとホムラがその様子を、扉にもたれかかり見ている。
 さすがに誰もこの2人。いや、魔王たちも含め5人には手を出そうとはしない。
 魔物には強いものもいれば弱いものもいる。狡猾なやつもいれば愚かなやつもいる。
「行ってくれば?このままじゃいつまでたっても終わらないよ」
「そうでもねぇさ」
 魔物の数は一気に減っていく。
 はちきれんばかりの筋肉に身を包み、魔物をちぎり投げ捨てる男。
 両の手に炎をまとい、その炎で魔物を焼き捨てる男。
 右手に持つ刀で、無駄な動きをまったくせず、魔物を切り捨てる男。
「へぇ、やるねぇ。でもあれって?」
「アカネの配下の闘士だ」
「ふぅん」
 そして、先ほど巨人を一撃で屠った男にそのかたわらでたたずむ女。
 数分後。広間で立っているのはこの魔王とその幹部の少女たちをのぞけば、この5人だけだった。
 魔物の大半は殺され、残りは逃げ出している。
「ごめんね。ホント血の気の多いヤツラばかりで」
「気にするな、魔物など掃いて捨てるほどいるのだからな。それよりもこいつらの方が使えるだろ」
 立っていた男が動く。
 手に炎を宿す男だ。
 男は、右拳を引き、まっすぐ魔王に向かっていく。
「その首、もらったぁぁぁ!!」
 その動きはまさに閃光の如し。
 引いていた右拳が、矢のように魔王に伸びる。
「あんた、ちょっとウザイよ」
 魔王に拳が届く寸前、男の動きが止まる。
 そして、いつの間にかマホが男のとなりに立ち、その首にはマホの持つ大鎌がかけられていた。
 男があと半歩でも踏み込んでいたら、胴と首が完全に分かれてしまっていただろう。
 すんでのところで、アカネが男の首根っこを掴み、止めていたのだ。
「マホ。あんた、私の部下を殺す気?」
 アカネが男を放し、マホを睨む。
 男はその場から動くことが出来ない。
「カズキ様。ごめんなさい。こいつにはちゃんと言っておくから」
「いや、かまわん。捨て置け」
 アカネは魔王と言葉を交わす間も、一度たりともマホから視線をそらさない。
 マホはその間も隙あら場と狙っている目だ。
「だって、ウザイんだもん。なんなのこの暑苦しいのは?」
「暑苦しいのは認めるけどね、なにも殺そうとすることは無いだろ」
「いいじゃない。最近、あまり血を吸ってないんだから。ま、こんな奴の血なんて不味いだろうけど」
 アカネがマホに殴りかかる。
 しかし、その拳は空を切るだけに終わる。
「あぁ、怖い怖い。ふふふ」
 マホはアカネの後ろに回りこんでいた。
 その顔には道化師の面。
 そのスピードは先ほどの男のものとは桁が違う。だれもその姿を捉えることは出来なかった。
「あなた、今のスピードは」
「道化師はね、人を欺くのが仕事なんだよ。それが例え魔王様であってもね」
 マホの身体が煙になり消えてしまう。
 ただ、高笑いだけを残して。
「くそっ」
「アカネ。拳を引け」
 ホムラがアカネの拳を掴む。
 単純に身体能力だけなら、ホムラが最も高い。
 そのホムラにすらマホの動きは見えなかったのだ、単純に動いたという訳ではなさそうだ。
「アカネ、それにマホ。俺はな、お前たちを信頼しているんだ。もし次に今のようなことがあったら、その時は命がないと思え」
 魔王がアカネを睨み、そして今度は何も無い空を睨む。
 その視線の先の空間が歪み、マホが姿をあらわす。
「わかった。カズキ様に従うよ」
「ボクも。もうこんな事はしないよ」

「はぁ、はぁ、はぁ」
 華澄は巨大な黒い蛇に追われていた。
 場所は不明。真っ黒な空間としかいえないような場所。
 上も下も右も左も何も無い空間。
 光が無いはずなのに、自分の姿や蛇の姿はよく見える。
「はぁ、はぁ、はぁ」
 徐々に蛇が近づいてくる。
 鎌首をもたげ、一瞬にして巨大な口が華澄の頭上へ下ろされる。
「きゃぁ!!」
 華澄は飛び起きた。
「はぁ、はぁ」
 周りを見渡すと。暗闇の空間ではなく伊集院の屋敷の一室。
 蛇もいない。
「夢?嫌な悪夢」
 パジャマの袖を捲り上げる。
 そこには先日蛇に噛まれた跡がくっきりと残っている。
「これのせいで、トラウマにでもなっちゃったかな」
 もともと蛇は嫌いだが、こんな悪夢を見るほどでもなかったはず。
「蛇の夢か。あ」
 大学で習った夢診断を思い出した。
 夢の中の蛇は男性のシンボルを意味している。
 つまりは性的欲求不満を表しているのだが。
「そんなわけないじゃない」
 自分でその考えを打ち消す。
 華澄がそんな考えにひたっている時、同じように悪夢にうなされている少女がいた。
「お父様!お母様!メイを、メイをおいていかないで」
 必死に腕を前に伸ばすメイ。
 親の死。
 今まで一度だって考えたことが無かったこと。それが突如現実となって襲い掛かったのだ。
 必死で強がってはいるが、やはり年相応の少女には変わりない。
「先輩」
 メイの目から涙がこぼれ落ち、枕を濡らしてゆく。

「ホムラよ」
「はい。お呼びですか?」
 魔王がつぶやくと、玉座の影からホムラが現れる。
「首尾はどうだ」
「上々。しかし、いいのか?あの女は」
「かまわん。今の俺は魔王であって牧和輝ではない」
 魔王の膝で寝ていた黒猫が起き上がる。
 何かに反応するように辺りを見回し、膝から降りる。
「ミユキか」
 王の間の扉が開かれそこからミユキが入ってくる。
 その姿はひびきの高校の制服だ。
「カズキ様、ただいまぁ。あ〜、よしよし」
 ミユキは足元に擦り寄る黒猫を抱き上げる。
「カズキ様。やっぱり学校には反応ありませんよぉ。どこか別な場所みたい〜」
「そうか。では、探索範囲をこのひびきの市全域に広げないといけないな」
 魔王が珍しく苦い顔をする。
 魔王は復活してから1つの物と1人の者を探していた。
 自らが封印されていた高校であれば手がかりがあるのではと、ミユキに探せたがその成果はあがらなかったようだ。
「それにしても、お前、その格好はなんだ?」
 ホムラが制服に疑問を抱く。
「だってぇ。久しぶりの学校だし〜」
「ホムラ。お前もミユキとマホを手伝ってくれ。おいおい、アカネもそちらにまわす」
「わぁった」

「今、わかっていることを整理しましょう」
 ホワイトボードに華澄が文字を書いていく。
 学校から帰ってきてそのままの格好だから、まさに教師そのものだ。
「まず、敵の名前はメモラー。その総大将は魔王。和輝君ね」
「メモラー?」
 メイが首をかしげる。
「この前、スピーカーから聞こえた魔王の声。彼がそう言っていたわね」
 琴子が補足説明をする。
「その配下は今のところ確認できているだけで4人。赤井さん、寿さん、一文字さん、それに真帆さんね」
 その名前を順番に書いていく。
 ただ、その手は少し震えている。
「これで全員なのでしょうか?」
「わからないわね。増える可能性もあるわ」
 華澄が4人の下に線を引き、赤いペンで特徴と書く。
「赤いピアス」
 光がつぶやく。
 先日、メイが発見した左耳のピアス。
「わかっているのは、この程度ね」
「少ないわね。これじゃあ何もわからないのと同じよ」
 あの屋敷での一件から3ヶ月たったが、あれ以降は大きな戦いは無い。
 あったのは、不気味な犬のような怪物との戦いだけだ。
 もちろんその間にも、犠牲者は出ていた。
「あの。ベルスペースの声。あの人なら何か知ってると思うのに」
「そうね、あれ以来は一度も呼ばれて無いわね」
 最初に呼ばれたとき以降はベルスペースとはつながりが無い。
 おかげで、光たちは全てを後手後手で行わなくてはならないのだ。
「むぅ。メイたちに戦わせるなら、もう少し協力して欲しいのだ!」

「久しぶりだな」
「サクシャ。私をどうするつもりですか?」
 魔王の目の前に、純白のドレスに身を包んだ少女がいる。
 少女は純銀のティアラを頭に冠し、その指には真っ赤な宝石の指輪がつけられている。
 もっとも、2人の間には強靭な鉄格子があり、少女の足は鎖で地面に固定されているのだが。
「100年前と同じ過ちは繰り返したくないのでね。少しここにいてもらおう」
「私を閉じ込めても無駄です」
 少女が魔王を睨みつける。
 その強い意志を持つ目は、どこか光に似ている。
「まったく、昔から変わらないな」
 少女は何も言わない。
 まるで隙をうかがう獅子のようにも思える。
「俺は必ず見つけ出す。鐘と巫女をな」
「あなたには見つけられません。そう、絶対に」
「なら、お前にそのありかを吐いてもらうだけだ。なぁ、メローラよ」




光   「新キャラ?」
琴子  「あんな人、学校にいたかしら?」
作者  「あれ、みんな知らないの?某シューティングゲーム参照」
真帆  「某って、ツインビーに出てた人でしょ?」
ほむら 「あぁ、懐かしいな。けど、なんでそんな奴が出てるんだ?」
作者  「教えなぁい」
メイ  「今回はあまり進展がないのだ」
匠   「でも、俺たちや番長’sが出てきたよ」
純一郎 「俺はのんびり見学の方でよかったんだけどな」
茜   「そういや、あの時の真帆さん凄かったね。ぱっと消えてボクの後ろにいるんだもん」
真帆  「あれはね。簡単なトリックなんだよ」
茜   「へぇ。どうやったの?」
美帆  「そこらへんについては、外伝の『Making of ヒビレンジャー』でわかりますよ」
光   「で、結局そのメローラさんはこの座談会には出ないの?」
作者  「スケジュールがなかなか合わなくてね。ん〜、第9話の座談会には出てくれるかな」
琴子  「だから部外者はいやなのよ」
光   「まぁまぁ」
和輝  「でも、メローラ姫って綺麗だよなぁ。あ、今度出演予定のパ」
作者  「わぁぁ!!それは内緒にって」
和輝  「おっと。そうだった」
光   「綺麗だった?パ?何を隠してるの〜、ふたりとも」
作者  「そのうちわかるって」
光   「それに、和輝君は知ってるの?姫って呼んだけど、あの人のこと」
和輝  「当たり前だろ。って言っても、海外アーティストだからなみんなが知らないのもしょうがないさ」
真帆  「私は知ってるよ。どんぶり島でしょ」
作者  「正解。ま、日本からは遠く離れた海のど真ん中の島だからね」
光   「ふぅん。私も調べてみよ〜っと」
   チャンチャン
 
 

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