「美穂さん!」
池の中心地点に十字架が宙に浮いている。。
そして、その十字架には桃色の髪の少女がくくりつけられていた。
気を失っているのか、頭を下げ、返事どころか反応すら無い。
「よく来たね。歓迎するよ」
十字架の上にはアカネが立っている。
「さぁ、ボクと一緒に遊ぼうか」
アカネの姿が突然消え、琴子と光の間に現れる。
アカネはその位置で両腕を琴子と光の方に突き出す。
「くぅ」
「あぁ」
2人の腹部に直撃した拳は、2人の肋骨に確実にひびを入れる。
「あれ、本当は折るつもりだったんだけど、そのスーツ凄いね」
光線がアカネの頬をかすめる。
華澄がアカネの攻撃の直後の隙を狙って銃を撃ったのだ。
「メイさん!白雪さんをお願い。メイさんなら土の力で水を」
走り出しながら華澄がアカネに向かって銃を連射する。
アカネはその全てを見切りかわしていく。
「大地よ。力を貸すのだ!」
メイが池の淵で叫ぶと、足元の大地が橋のように十字架に向かって伸びる。
足場が無い橋にも関わらず、水に溶けることも無く十字架に到達する。
「させないよ!」
アカネがメイ目掛けて跳躍する。
「さっきの痛かったんだから!」
「今度こそ倒すわよ」
光と琴子がそれを阻む。
空中で3人が交差し、アカネがバランスを崩し地に落ちる。
「今だよ、メイちゃん!」
光が叫ぶと、メイが十字架に向かって駆け出す。
「ふふふ」
アカネは誰にとも無く微笑んだ。
「え!?」
池の水が上空に飛び、落ちてくる水が槍のようになりメイに襲い掛かる。
「そんな!?あの子は木の属性じゃないの?」
「けど、一文字さんは私たちと戦ってるから、あんなこと、出来ない、よ!」
アカネの拳を光がサーベルで受ける。
不意をついて撃つ華澄の攻撃もことごとくかわされる。
「土よ。メイを守るのだ!!」
土の橋が意思を持っているかのように、その一部が伸び、メイに降りかかる水の槍を防ぐ。
水剋土。土は水を塞き止める。その理により水の攻撃を受け止める。
「白雪先輩、今助けるのだ」
メイがサーベルでロープを切っていく。
「ん、ありがとう。メイちゃん」
どうやら意識が戻ったようだ。
ロープの全てをほどけ、自由になる。しかし、その細い腕はメイの首を締めた。
「ぐぅっ」
メイはスーツを着ているにも関わらす、首の骨がきしむほどの力で絞められる。
「メイちゃん!」
「どういうことなの!?」
光と琴子もそれに気付く。
だが。
「よそ見している暇は無いよ!」
アカネの執拗な攻撃に追われ、メイを助けだすことは出来ない。
華澄が銃で狙いをつけようとそちらに銃を構える。
「だめ、ここからじゃメイさんにも当たってしまう」
華澄が走り出し軸をずらそうとするが、首を締めている主はそれに合わせメイの身体をそちらに向ける。
「ふふふ、あはははは!死んじゃっていいよ。その血は私が飲んであげるから」
「せ、先輩・・・」
メイの身体に力が入らなくなる。
「もぅ・・・だ・・・」
「くぅ」
しかし、その腕を光線が貫きメイの首を締めていた力が弱くなる。
力を振り絞りメイはその腕から抜け出す。
「真帆ちゃん。あなたが敵になっていたなんて」
池の対岸。そこに桃色のスーツに身を包んだ女性が銃を構え立っている。
「え!?美帆さん?」
「げほ、じゃあ、これは誰なのだ」
メイが橋の上に降り立つと、土の橋がメイを対岸の美帆の方へ運ぶ。
「大丈夫ですか?」
「ありがとうなのだ。けど、あれは」
光と琴子の攻撃をかわし、アカネが跳躍し十字架のそばに降り立つ。
2人とも池の中心で、宙に浮いている。
「失敗か。ざんねんだなぁ」
「アカネだったらすぐに折れたかもしれないけど、私だと難しいよ」
その間に、美帆とメイが光たちに合流する。
「ふふ。ちゃんと自己紹介するね。私の名前は地獄の道化師マホ。一応、そこにいる美帆の妹よ」
マホが指を一度鳴らすと、その姿が変わる。
今までの私服姿ではなくピエロのような格好だ。
「真帆ちゃん」
「けど、今日からは姉でも妹じゃないわ。私はマホ。バイバイ。美帆」
マホはその顔にピエロの仮面をかぶる。
そして、その後ろの十字架は形を変え、巨大な大鎌に変化する。
「だから最初からアタシたちにも手伝わせておけばよかったんだよ」
「私は手伝ったよ」
2人の横に影の玉が現れ、そこからホムラとミユキが現れる。
1人でも強い魔王の手下が4人。
それを同時に相手しなくてはならない。
「まぁいいさ。アタシは回りくどいのよりこういうガチンコのが性にあってるぜ!」
「ボクもだそうよ。じゃあ、暴れようか」
ホムラとアカネが空高く跳躍する。
「あぁ〜。いっちゃった〜。じゃあ、この前は土のゴーレムだったから、今度はこれね〜」
ミユキの足元。水の上に魔方陣が描かれる。
水が大きく盛り上がり、その姿が徐々に人の形に変化する。
「へぇ、水のゴーレムなんて器用なことするね。じゃあ、私は」
マホが大鎌を手にし、大きく振りかぶり、光たち目掛けて投げつける。
鎌は途中で無数の小さな鎌に分かれ飛んでいく。
「光ちゃん、琴子さん。こっちは任せて」
「私もやります」
華澄と美帆が銃を構え、鎌を打ち落とす。
「伊集院さんはゴーレムを、水には土よ!」
「わかったのだ」
メイが池に向かって駆け出す。
「光。私たちは」
「うん」
2人は上を見上げ、上空のホムラとアカネを迎え撃つ構えをとる。
初めての激闘の火蓋が切って落とされた。
「はぁぁ!」
「くっ。けど、いける!」
アカネの拳を光が受け止め、逆に弾き飛ばす。
「これで!どうだ!!」
「遅い!」
ホムラが空中で鞭をすばやくふるうが、琴子がそれを掴む。
「白雪さん」
「はい!」
華澄と美帆の銃撃は確実に鎌の数を減らす。
そればかりか、いくつかの閃光はマホの身体へ傷をつける。
「今なのだ!グランドブラスト!」
ゴーレムが一歩地面を踏み出すと同時に、大地が割れその巨体を飲み込む。
ホムラとアカネはその動きを見切られ、マホの攻撃は全てはじかれた。そして、ミユキのゴーレムも既に大地に飲み込まれてしまっている。
「へぇ。強くなったじゃねぇか」
「うん、カズキ様のいう通りだね」
だが、4人とも全くこたえた様子は見えない。
まるで相手の力量を試すかのような。
「そろそろだね〜」
「えぇ。カズキ様がお見えになるわ」
急に空に暗雲が立ち込め、雷がその轟きをあげる。
光にはこの光景に覚えがあった。
そう、あの卒業の日。
「久しいな、光。と言っても、まだ数日しかたっていないか」
「え!?」
いつの間にか光は和輝に抱きしめられていた。
それだけではない、自分の姿はヒビレンジャーのスーツでも私服でもなく、ひびきの高校の制服。
「光。俺はお前を愛しているんだぜ、俺と一緒にこないか?」
耳元で囁かれる声は、間違いなく愛するものの声。
光の身体が熱くなる。
「和輝君。私」
「いいんだ、光は俺のそばにいてくれるだけで。さぁ、俺と一緒に行こう」
口が動き、「はい」と言いそうになる。
しかし、心の中を別な暖かいものが占めていく。
「ダメ。あなたは和輝君じゃない。あなたは」
「俺は和輝だ。光を愛し、そしてキミが愛した」
光はその身体を和輝から離す。
「違うよ。和輝君じゃない。和輝君は、ここにいるから」
自分の胸を押さえる。
「光!!」
「琴子」
目の前に琴子の顔が見える。
自分の姿もいつもの普段着。みんなも変身は解けている。
「よかった。あの4人が消えて、あなたが急に倒れるから。けど、目を覚ましたのね」
「うん。ごめんね心配かけちゃって」
あたりを見回すと、あの4人の姿が見えない。
どうやら退散したようだ。
「今日は顔見せという程度だったようね」
華澄が池を覗き込む。
「え!?」
池の中から水しぶきをあげホムラが出てくる。
その腕には真っ黒な蛇が絡み付いていた。
「んっ!」
「先生!」
いち早くそれに気付いた美帆が銃を抜くが、ホムラの姿は空に消えてしまった。
「香澄さん!」
「凄い熱。それに腕に何かに噛まれた跡が、まさか毒!?」
「早く屋敷に運ぶのだ。屋敷なら手当てできるのだ」
メイに誘導され華澄を運んでいく。
ベッドに寝かされるが、毒によりうなされつづける。
「どうすればいいのでしょう」
「見てきたけど、誰もいないよ!」
光が屋敷を駆け回り人を探したが誰も見つけることが出来なかった。
「救急車は?」
「ダメなのだ。蛇の種類がわからないと血清の打ちようがないのだ」
「カズキ様」
「ホムラか」
ホムラが魔王の前に現れる。
「首尾よく事を進めることが出来たぜ。この前の汚名返上だな」
「よくやってくれた。これで計画の第1段階は終了したと言うことか」
光 「先生大丈夫かな?」
華澄 「いきなり死ぬのは嫌ですよ?」
美帆 「真帆。朝飲んでた赤いのって、まさか」
真帆 「んなわけないじゃん。トマトジュースだよ。もちろん」
メイ 「だんだんこの話、黒くなってきているのだ」
ほむら 「そろそろ誰か死ぬか?」
美幸 「あ、予告編では私の影が最初に死ぬって言ってたけど、そろそろ?」
作者 「いえるわけないだろうか。んなこと」
ほむら 「ま、いいけどなぁ。アタシはもっと暴れたいんだけどなぁ」
茜 「ボクは別にいいや。見せ場は欲しいけど、戦いってあんま好きじゃないし」
作者 「ちゃんとみんな見せ場をもっと作るからまってて」
琴子 「私は美味しいお茶があればいいわ」
美幸 「あ、私ケーキ食べたい」
作者 「それを物語りの中に入れろと?」
美幸 「えへへ。だめぇ?」
作者 「考えておく」
チャンチャン
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