5人の声とポーズがそろい、後方に赤・青・桃・黄・緑の爆煙があがる。
『ときめき戦隊ヒビレンジャー!!』
「やはり100年前と同じか。ならばこの炎の」
「どうしてメイがイエローなのだ!イエローはギャグのカレー好きなのだ!!そんなのバカ猿にやらせればいいのだ」
 ヒビキノイエロー−伊集院メイ−がその場で銃を乱射し、街灯や看板などが次々と壊れる。
 単純に色が気に入らないだけのようだ。
「あらぁ。どうしましょう。全身タイツなんて恥ずかしいです。けど、今度のお芝居の参考になるかもしれませんね」
 ヒビキノピンク−白雪美帆−はそういいながらも、ガラスに映った自分をマジマジと見てる。
 さすがは演劇部と言ったところか。
「さすがに、これはちょっと。名前、横文字だし。せめてひびきの隊の青ひびきのとかにならないかしら」
 ヒビキノブルー−水無月琴子−は呆れ顔だ。
 仮面をかぶっているので表情はわからないが、その態度から絶対にそれが予想される。
「まさかこの年になってコスプレすることになるなんて。お嫁にいけません」
 ヒビキノグリーン−麻生華澄−はその場にしゃがみこんでしまった。
 ある意味一番それらしい態度かもしれない。
「みんな。和輝君を取り戻すために頑張って!」
 今、ヒビキノレッド−陽ノ下光−の周りには4人の戦士が立っている。
 そう、ここに新生ヒビレンジャーである、ときめき戦隊ヒビレンジャーが誕生したのである。
「こら!人の話を聞け!!」
 ホムラが声を荒げる。
 が、ヒビレンジャーのみんなは完全に無視。
「先輩のためでも、嫌なものは嫌なのだ」
「私、役者はちょっと」
「別にあんな男はどうなっても知ったことではないわ」
「あぁ〜ん。お嫁にいけません」
 徐々に鞭を持つホムラの手が細かく震えだす。
 と、同時にその背中には真紅の鳥。いや、炎を身にまとった鳥が現れる。
「ゆけフェニックス!!あのようなやつら、焼き消してしまえ!!」
 炎の鳥は雄叫びを一つあげ、5人に向かって飛んでいく。
「あ!みんなよけて!!」
 光の叫び声に4人が反応し、炎の鳥を避ける。
 炎の鳥がそのまま喫茶店に飛び込む。
 巨大な火柱が喫茶店から立ち上る。
「な、なんなのだこのデタラメな強さは」
「ここじゃ、周りに与える被害が大きくなってしまうわ」
 炎の鳥は、一帯の建物に飛び込み破壊をはじめる。
 辺りにはすでに十数本の火柱が立ち並んでいる。
「やめて!どうして、どうしてこんなことを」
「お前たちが周りを気にしなくていいようにしたまでさ」
 ホムラが鞭を振るうと、それに呼応するかのように炎が舞い散る。
 その炎は逃げる人々を捕らえ、一瞬にして消し炭にしてしまう。
「許せない」
 華澄がホムラを睨む。
「許せない!あなただけは絶対に許さない!!」
 華澄の怒り。
 教師として教卓にたち、時には生徒を叱ることもあるが、これほどまでに怒りをあらわにしたことは無い。
 あまりの怒気にホムラが一瞬、気圧される。
「ふん。それがどうした!行けフェニックス。あのいまいましい教師を焼き尽くせ!!」
 炎の鳥が上空から華澄目掛けて突進してくる。
「ウォータースピア!」
 華澄の仮面の額につけられた緑色の玉が黒く変色し光を放つ。
 そして、両の手を炎の鳥に向かって突き出すと、そこから勢いよく水が飛び出した。
 水は勢いを増し、水の槍となり炎の鳥に突き刺さる。
「なに!?」
 突如の攻撃にたじろぐホムラ。
 炎の鳥はその勢いをなくし、空中で消滅する。
「そんな!?目覚め?・・・はや過ぎる。くっ。ここは退却だ」
 ホムラが炎と共に消えてしまう。
 同時に、壊され燃えたはずの建物がゆっくりと元の姿に戻っていく。
「どういうことなのだ?」
「あ、あれを」
 美帆に指差され見た方向には、先ほど焼かれた人が復元されていく。
 気付けば、周りには先ほどと変わらぬ街並みと人が。
「よかった」
 華澄が胸をなでおろす。
 いつの間にか、5人の変身も解け、先ほどの普段着に変わっている。

 事態を把握できない5人は再度メタルユーキで向かい合っていた。
「敵にやられても元に戻るってことなのかしら?」
「それは勝った場合ではないのですか」
「私たちが負けたら、町はあのままだったのかしら」
 謎は残る。
 なぜ、町は元に戻ったのか。
 なぜ、人が復元したのか。
「でも、さっきこと誰も覚えてないんだよね」
「伊集院家の監視カメラにもさっきの戦いは写ってないのだ」
 町にいた人は逃げ回っていたはずにもかかわらず、誰も何も覚えていない。
 それどころか、その時間のことを覚えていないのではなく、別な記憶で上塗りされている感じだ。
「ここのマスターは、私たちはずっとここに座って談笑してたって言うし」
 光の言葉に、4人がうなる。
「謎と言えば、先生のあの水はなんなのだ?」
「あれは、よくわからないんだけど。ほむらさんのことが許せなくて。そうしたら頭に浮かんできたの」
「あの時、先生の額の石が黒くなりました。多分、黒と水。五行ではないでしょうか」
 琴子がお茶をすすりながら話す。
 あの状態でそこまで見ているとは、さすがは冷静を取り柄としているだけはある。
「五行ってなんなのだ?」
「この世界は木。火。土。金。水の5つからなるって考えられている、中国の古い思想です」
「陰陽とかそう言ったものに受け継がれてるんですよ」
 この手の話題には琴子は強い。
 美帆もよく、本を読み芝居の脚本を考えるので知識としてはかなりのものだろう。
「五行では黒は水を意味します。私たちも5人。そして五行。あながち無関係ではないかと」
「ってことは、私たちも使えるのかな?」
「わからないわね。まぁ、私は降りるから、どうでもいいことだけれど」
 琴子がブレスレットをはずし、テーブルに置く。
「え?」
「私もこういう派手なことはちょっと」
「こんなのは伊集院の私設軍の仕事なのだ」
「ごめんなさい。光ちゃん」
 美帆。メイ。華澄の3人もそれぞれテーブルに置く。
「どうして?だって、和輝君が」
 光の目に涙が浮かぶ。
 みんな助けてくれると思っていたのに。一緒に戦ってくれるって。
 けど、4人の目にはその意思はなさそうだ。
「光も、あの男のことは忘れてしまいなさい」
「嫌!」
 肩に乗せられた琴子の手をはじく。
「嫌よ!和輝君は私を好きだって言ってくれた。きっと今、苦しんでるんだよ。だから、助けてあげたい」
 光が琴子と睨む。
 今まで、光が琴子にこんな強く意見したことは無かった。
 いつも琴子の言うことが正しかった。だから、光はそれに従う。
 けど。
「私は1人でも戦う。戦って和輝君を助けだす」
 光は店を飛び出し当ても無く駆け出す。
「み〜っけた。光ちゃん1人だなんて、ミユキってばちょ〜ラッキー」

「カズキ様!」
「ホムラか」
 魔王の座る玉座の前に、ホムラがひれ伏す。
「すまん。失敗しただけじゃなくて力まで」
「気にするな。我が力を取り戻していない今、お前の力も半減している。今はまだ力を蓄える時だ」
「今度は絶対に、力になれるように頑張るよ」
 魔王の手には大きな髑髏。その目に埋め込まれた水晶に1人の少女が映し出される。
「光。すぐにこの世の終りを見せてやろう」
 玉座の横に並ぶ蝋燭の2つに、自然と火が灯る。
 水晶には先ほどとは違う少女が映し出される。
「ほう。3人目と4人目の適合者が見つかったか。ここの守りは任せるぞ」
「任せろ」
 魔王の姿が消える。

『ミユキよ』
「あ、カズキさま〜」
 ミユキの頭の中に魔王の声が響く。
『光と少々遊んでやれ』
「壊れちゃうかもしれませんよ〜?」
『かまわん。好きにしていいぞ』

 光は学校のグラウンドを走っていた。
 陸上部として3年間、走りつづけた場所。
 昔から何かがあるたびに、ここでそれを忘れるまで走る。そして、いつも和輝が迎えにきてくれていた。
「今日は、来てくれないんだよね」
 心が痛くなる。
 そのつぶやきと同時に光の走るスピードがだんだんと落ち、その場に止まってしまう。
「会いたいよ」
「こんにちわぁ。陽ノ下さん」
 光の耳元で声がする。
 そして、首筋には一本のナイフ。
「元気ないね〜。そんなんじゃ、カズキ様、ミユキが取っちゃうよ〜」
「え?こ、寿さん?」
「んふふふ〜。私はミユキ。魔女ミユキだよぉ」
 光の背後にいた声の主が跳躍し、光の眼前に着地する。
 その瞳は暗く、あきらかに人のそれとは違う感じがする。
「寿さんも、魔王に」
「だから〜。ミユキだってば〜。うん。カズキ様にね調教してもらったんだよ」
 ミユキは長いローブと、先のとがった帽子。
 まさに魔女の名にふさわしい出で立ちだ。
「ちょ、調教!?」
「すご〜く、気持ちがいいんだよ。光ちゃんもこっちに来る?」
 光の耳元で囁く。
 その顔がみるみる真っ赤に変わっていく。
「んふふふ〜。光ちゃんならカズキ様。きっと気に入るよ」
「イヤ!!」
 光がミユキを突き放す。
「魔王と和輝君は別人なの!だから、私は魔王を倒して和輝君を助けだすんだから!」
「そっか〜。残念だなぁ」
 ミユキが笑いながら、地面に手をつく。
 そこから光が溢れ、グラウンドに大きな魔方陣が描かれる。
「出ておいで〜」
 魔方陣の中心。ミユキの真下の大地が盛り上がり始める。
 その大地は徐々に、足や手などを形取り人の姿になっていく。
 ゴーレム。西洋のファンタジーなどでよく出てくる、土や鉄などで出来た人形。
「逃げないと、踏み潰しちゃうぞ〜」
 土人形がその巨大な足を持ち上げ、光を踏み潰そうとする。
「くっ」
 動きの遅い土人形であるから何とか避けることは出来ているが、それも時間の問題だろう。
 疲れが出てきて、徐々にその動きが遅くなる。
「生身じゃだめ。転身!!」
 腕を高く上げ、ヒビレンジャーへと変身をする。
 これにより、疲れがおさまり、速度や力もあがった。
「ゴーレムちゃん、いっちゃえ〜」
 ミユキが土人形の上でパンチをすると、同じように土人形が光るにむかって拳を放つ。
「くぅ」
 その拳が光を直撃する。
 生身ならこの一撃でバラバラだ。
「光ちゃんを倒したらぁ。カズキ様、ごほうびくれるかなぁ」
 ゴーレムが再度の攻撃のために拳を大きく引く。
「今度は、カズキ様と2人っきりでいたいなぁ」
「ダメェェェ!!ファイヤーウォール!!」
 仮面の赤い石が光を放つ。
 光が手を突き出すと同時に高い炎の壁が出現し、土人形が炎で包み込まれた。
「やった。私にも」
「んふふ〜。ざんねんでした〜」
 炎の壁を突き破り、またもや土人形の拳が光を襲う。
 今度の一撃は先ほどよりも遥かに強い。スーツを着ていても骨がきしむ。
「くはぁ」
 仮面が外れ、その口からは血が滴り落ちる。
「どうして」
「火生土。火は燃え尽きて土を生む。ミユキはよくわかんないけど、カズキ様がそう教えてくれたの」
 これも五行の理の一つ。
 火は、土にさらなる力を与えてしまう存在だ。
「そんな」
「じゃあね。ばいば〜い」
 土人形の足があがり、光を踏みつけようとする。
「木喰縛り!」
 土人形に植物のツタが絡まりその動きを止める。
「木剋土。あの男はそうも言ってなかったかしら?」
「あ・・・琴子ぉ!」
 声のする方には青いスーツ。ヒビキノブルーが立っている。
「滅!」
 琴子の声に反応し、ツタは土人形を締め付ける。
 土人形は反撃をするまもなく砂と化し、グラウンドの土と返ってしまう。
「あららぁ。まぁいいや。それじゃあ、また会おうね。ばいば〜い」
 ミユキの足元に黒い闇が現れその中にミユキが吸い込まれていく。
 完全に消えたと同時に、先ほど土人形がグラウンドにつけた傷やひびも消え去り、綺麗になる。
「ふぅ。まったく。仕方ないから協力してあげる。光がいなくなるのは、イヤだしね」
「琴子ぉ」
 長い髪を風にたなびかせ立っている琴子に光が抱きつく。




光   「琴子。信じてたよ」
琴子  「私も甘いわね」
作者  「友情だねぇ」
ほむら 「はぁ、やられて帰っていく悪役の気持ちがわかったよ。せつね〜」
美幸  「あはは〜、コテンパンだったもんねぇ」
ほむら 「お前もだろうが!」
華澄  「けど、思ったほど悪くない感じかな?」
美帆  「そうですね。ありきたりではありますけど」
メイ  「メイは納得いかないのだ。イエローなんて」
作者  「メイちゃん。キミはいったい何歳?」
光   「けど、このまま行けば、きっと和輝君を」
和輝  「俺って本当に出番無いのな」
光   「あ、和輝君・・・・そういえば調教って何したの?」
和輝  「なんもしてねぇよ。作者に聞け作者に」
作者  「ここじゃぁ言えません。ノーマルな内容だし」
?   「次はいよいよボクの番だね。簡単にはやられないからね」
??  「私も出るよ。楽しみにしててね。お姉ちゃん」
   チャンチャン
 
 

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