週刊ウィンリィちゃん 第15号:一月一日


『あけましておめでとうございます』
 ここはリゼンブールのとある屋敷。
 そこに老若男女問わず、多くの人が集まっていた。
「ふぃ。去年も色々あったよねぇ」
「まぁな。アニメの終了、そして映画の告知」
「ゲームもいっぱい出たよね」
 ウィンリィにエドとアル。
「どうして私がこんな場所にこなくてはならないのだ。今日はミーナ君とエレミナ君が」
「大佐・・・頭と心臓。どっちを撃ち抜かれたいですか?」
「いんやぁ、中尉も相変わらず大変だねぇ」
「なげかわしいかぎりですなぁ」
 ロイ・リザ・ヒューズ・アームストロングの軍人ズ。
「ボクは来たくて来たわけじゃないんだけど?」
「お正月くらいゆっくりしましょう」
 エンヴィーやラストといったホムンクルスチーム。
 ・・・その他いっぱい。
「ちゃんと紹介してほしいっす」
「おなか・・・すいたぁ・・・」
 と、見渡す限り、出演者のほとんどがそろっているようにも見える。
「さぁ、皆さんいい感じになってきたところで。かくし芸大会いってみよぉ」
 ステージの上で司会進行役のアルモニが元気に叫ぶ。
「トップバッターはもちろん。エドワード・エルリックさん!」
「俺かよ・・・」
 しぶしぶながらステージにあがるエド。
 そして、その中央で両の手を合わせる。
「ちょ、ちょっと待って。ひょっとして・・・錬金術?」
「あ?あぁ」
「・・・うわぁ・・・背も無ければ芸も無し・・・無し無しづくし」
「ほっとぐわぁん!」
 エドの頭にスパナがぶつかって血を流して倒れこむ。
 もちろん投げたのはウィンリィ嬢。
「ったく。もう少し気の利いたものやりなさいよね。んじゃ、次!大佐さん」
「あの。司会は私・・・・じゃなくていいです」
 アルモニがステージから降り、代わりにウィンリィとロイがあがってくる。
「私か。私に出来ることといえば・・・今まで会った女性の名前を」
「却下」
「では、炎を」
「・・・エド並」
 耐えがたいショックを受けてその場に崩れこむロイ。
 その目の焦点が合ってなく、口は半開きだ。
「はぁ。はいはい。そこに転がってるエドと大佐さんをステージから下ろして。まったく、まともな芸人はいないのかしら」
「いや・・・兄さんたち芸人じゃないし」
 アルが肩を落とす。
「ったく、みんななっちゃいないねぇ」
「お、中佐さん」
 ヒューズが大きな箱を持ってステージに上がってくる。
「ま、定番っちゃ定番だが、俺がマジックを見せてやろう」
「おぉ」
 ヒューズが手に持ったステッキを振るとバラの花束に変わる。
「どうぞ」
「あ、ありがとう」
 花束を受け取るウィンリィ。
「さぁ、どんどんイクぞ。あぁ、エリシアちゃぁん。パパをみててねぇ」
 急にだらしのない顔になる。
 箱の中をごそごそと漁り、次のマジックのネタを取り出す。
「パパぁ。がんばってぇ」
「エリシアちゅぁぁん」
 娘の声に振り向くヒューズ。
 と、同時に箱に服が引っかかり、服は裂け箱が倒れる。
 そこから、鳩や子猫などが多くでてきてパーティ会場に散ってゆく。
「あ」
『ちょ、イヌがイヌが』
『こっちでネコが鳩を獲ってるぞ!』

「ふぅ。大変なことになったな」
「まったくよ。アンタがちゃんと芸をやってればこんなことにならなかったのに」
「おいおい」
 エドとウィンリィ。
 場所は屋敷のベランダ。
 空には満点の星。
「でも、本当に去年は色々あったよな」
「何言ってるのよ。今年も忙しくなるわよ」
 ウィンリィがエドに寄りかかる。
「映画にコミックに」
「そうだな。お、寒いと思ったら雪か」
 空を見上げても雲はかかっていない。
 どこからか吹いてくる雪がエドとウィンリィの肩に落ちる。
「寒いだろ」
「平気・・・くしゅん」
「ほら」
 来ていたコートを脱ぎウィンリィにかける。
「ありがと」
 黙りこむ2人。
 月の灯りだけが2人を照らし出す。
「・・・エド」
「ん?」
「今年も・・・よろしくね」
 エドの顔を見つめ、目を瞑る。
「ウィンリィ・・・」
 エドも目を瞑り、顔を近づける。
「・・・っ」
 肩を振るわせるウィンリィ。
「・・・・・・すな」
「あっ、ば!」
 突然、ベランダのドアが開き屋敷の中から何人もの人がベランダになだれ込む。
「お、おまえら」
「や、やぁ。鋼の。続きを・・・」
「出来るかぁぁぁ!!」
 どうやら、なだれ込んできた人物たちは2人のことを覗いていたらしい。
 まぁ、お約束といえばお約束なのだが。
「ふぅ。ったく」
「今日は残念だったね」
「ば、お前もそういうことを言うな!」
「まぁ、今日はせっかくのお正月だし」
「そうだな・・じゃあ、せーの」
『あけましておめでとう。今年もよろしくおねがいします』



次回予告
 あの人の名前はエドワード・エルリック。
 あぁ、私の王子さま。
 あなたをひと目見たあの日から、私は貴方のとりこです。
 どうか、私を貴方の元へと連れ去って。
 次回『ハガレン愛の劇場』
 次回もこのチャンネルに練成してださいな。

アルフォンス  「誰?」
ウィンリィ   「さぁ、オリジナルじゃない?あのエドを王子さまだなんて」
アルフォンス  「だねぇ。兄さんをそんな風に見てる人なんていないよね」
エドワード   「てめぇら、言いたい放題言いやがって」
ウィンリィ   「いやぁん。怒っちゃいや」
エドワード   「これがこれが怒らずにいられるかぁぁぁ」
?????   「おほほほ。私のエドさま。次回、お会いしましょうね」
ウィンリィ   「うわ。お嬢さまだ・・・あ、次回は10日更新です。その後はまた週刊に戻るからね」
エドワード   「今年もヨロシクな。んじゃ、また」
 
 

 
 

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