週刊ウィンリィちゃん 第5号:運動会だよ全員集合〜完結編・前編〜
『それでは午後の部を開始します』
アナウンサーの声が、お昼休みの終了をつげる。
「よっしゃ。午後は気合入れて行くぞ」
「まずは私よ」
『午後の最初の競技は借り物競争です。エドチームからはウィンリィ・ロックベル嬢。ホムンクルスチームからはグリード』
二人がスタート地点に並ぶ。
「こういうのは俺は嫌いなんだけどな」
「ふふん。じゃあ、勝負する前から私の勝ちみたいね」
「ま、勝負事に負けるのはいやだからな、真剣にいかせてもらうぜ」
ピストルの音と共に二人が飛び出す。
と言っても、すぐ先の数多くばら撒かれた封筒を拾うのだからあまりスタートダッシュは意味が無い。
「えっと。なになに・・・・え?」
ウィンリィが封筒を開け中を見・・・そのままの体制で固まってしまう。
「あん?なんだこりゃ」
グリードの方も苦笑するだけで動こうとしない。
突如ウィンリィがエドを方を振り向き、猛然と駆けて行く。
「お!?おい・・・なんだよ」
「一緒に来て」
そして、エドの腕を引っ張り無理矢理ゴールに向かわせる。
「ちぃ。しゃあねぇなっと!!」
グリードが何も持たずに、ゴールテープを切る。
それに遅れて、ウィンリィとエドもゴールに入る。
「えっと、グリードさん?なにも持ってないようですが・・・」
「持ってくるのが大事なものだからな。俺が大事なのは俺自身だ」
係員が困った顔になり、大総統の方を見る。
大総統が首を横に振る。
「グリードさん。それでは借り物にはならないので失格です。ウィンリィさんの持ってきたのが正当性があればエドチームの勝利となります」
ウィンリィが係員に紙を渡す。
そこに書かれた文字は・・・『恋人』
「ウィンリィ!?・・・こ、こいび・・」
「私の恋人はこの機械鎧です。あぁ・・・機械鎧。この鉄の肌触り。そして油の匂い・・・これ以上の恋人はありません」
『えっと。ま、まぁ・・・いいでしょう。勝利ウィンリィ嬢。エドチーム1勝』
ウィンリィは満面の笑みでみんなの歓声にこたえるが、エドはその場に倒れこんだままだった。
『第5試合!大玉転がし。エドチームからはアルフォンス・エルリック。ホムンクルスチームからはエンヴィー』
「ボクを呼び捨てとはいい度胸だな」
「まぁまぁ」
係員に詰寄るエンヴィーをラストが引っ張ってくる。
「よ、よろしく」
アルフォンスとエンヴィーの前には大玉が。
普通の大玉のサイズだが、アルとエンヴィーの体格差がある。その時点でエンヴィーが不利に見える。
「位置について。よーい・・・・・ドン!」
「アル!!その場に立ってろ!!」
スタートのピストルと同時に、誰かの声が会場に響く。
「は!はい!!」
その声を聞き、アルがその場に直立不動の体勢となる。
「先生!?」
エドの方もキョロキョロと辺りを見回す。
二人にとってもっとも恐ろしく、そして逆らうことに出来ない存在の声だ。
「へへん。おっさきぃ」
エンヴィーが、動きを止めているアルの横をさっさと抜けていく。
そして、アルがまったく動かないままエンヴィーがゴールを抜けてしまう。
「動いてよし」
また、あの声だ。
その声の主は、ゴールの向こう。
アルとエドがそちらを向くと、そこには1人の女性。
しかし、ゆっくりとその姿を代え、エンヴィーとなる。
「あぁぁぁぁ!!エンヴィー貴様」
『勝者エンヴィー!!ホムンクルスチーム4勝目!!』
「だから呼び捨てにするな!!!」
「ったく、情けない」
「うぅ、ウィンリィ・・・仕方ないんだよ・・・あの声聞くと」
戻ってきたアルにウィンリィが頬を膨らませて迎える。
『第6試合!練成対決。エドチームからはエドワード・エルリック。ホムンクルスチームからはラースです』
「エド・・・これに負けると」
「わぁってるよ。ぜってぇ勝つ」
エドがスタートラインにつく。
この競技は、200メートルの距離を走るのだが、50メートルごとにお題と材料が置いてある。そのお題の練成を行うことで先に進めるレースだ。
「はぁ。面倒くさいなぁ」
ラースもその隣に並ぶ。
「位置について・・・よーい・・・ドン!!」
しかし、二人ともその場を動かない。
それもそのはず。まずはスタート地点の第1の練成だ。
「地味・・・」
ウィンリィが嫌な突込みを入れる。
お互いに練成をクリアしていき、同時に150メートル地点の最後の練成に到達する。
「なになに・・・最強の盾?」
「えっと。最強の矛?」
あまりのことにエドとラースが顔を見合わせる。
そして、そのまま視線をラストとグリードの方に。
『無理だろ』
口を合わせ二人とも棄権の意を表する。
『え?あ、両チーム棄権ですか?・・・あ、えっと・・・引き分け・・?』
「別にあの二人を練成するわけではなく、それなりの武器と防具を練成しろという意味じゃったのだが・・・」
大総統が大笑いをはじめる。
『大総統。あまり選手をいじめるのは止めてください』
「すまん・・・」
エドがみんなの前で謝る。
さすがに悪いと思ったようだ。
「あとは・・・最後の騎馬戦だけよね」
「4対1で・・・3ポイント差かぁ」
ウィンリィとアルがスケジュールとポイント表を見てうなる。
「騎馬戦ならば・・・勝つ見込みはある」
ロイがルールブックを見る。
そこには、こう書かれていた。
「騎馬戦は下に3人。上に1人。上が地面に落ちた時点で負けとなる」
「普通だろ?それがどうしたんだよ」
「まぁ、鋼の続きを聞くんだ。勝ちチームに入る得点は下の残った人数+上の1人分・・・つまり最高で4人・・・4ポイント入るわけだ」
もちろんそんなルールだから足への攻撃も可能だ。
足はつねに上に接触していなければならない。つまりは接触が無くなった時点で脱落だ。
「それじゃあ、ボクたちにもまだ勝ち目あるんだね」
「うむ。全員生き残れば・・・私たちの勝ちだ」
エドワード 「おい!完結編じゃなかったのかよ!」
アルフォンス 「なんかね、1週遅れてたうちに書きたいことが増えたって」
エドワード 「適当だなぁ」
エンヴィー 「いいじゃねぇか。騎馬戦。暴れてやるぜ」
エドワード 「じゃあ、本当に次回が最終回だぞ!絶対な」
次回予告
最後の競技を残して4対1
エドたちの勝利は最後の騎馬戦にかけることとなった
騎馬戦に勝てるのか?それとも負けてしまうのか
次回。運動会だよ全員集合〜完結編・後編〜
次回もこのチャンネルに練成よw
ウィンリィ 「練成よw」
エドワード 「やっぱこの方があうな」
エンヴィー 「だな。さすがにラストはなぁ」
ラスト 「エンヴィー・・・最強の矛・・・試してみる?」
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