週刊ウィンリィちゃん 第4号:運動会だよ全員集合〜激闘編〜


 セントラルのある運動場。
 そこから花火が数発打ち上げられる。
 運動場には大勢の観客。そして、入り口には看板が立てかけられている。
 『秋の大運動会』とかかれた看板だ。
 軍のトップである大総統の一言でひらかれたこの大会。多くの出場者が招かれた。
「って。5人しかいないじゃん」
 招かれたはずだったのだが、なぜかそこに居るのは、たった5人。
 エドにアル。ロイとリザ。それにウィンリィだ。
「た、大変です。出場者たちが何者かに」
 係員の一人が大総統のもとに息を切らせてかけこむ。
 彼の話では、待合所にいた出場者がことごとく倒れてしまっているというのだ。
「ふむ。一体誰が」
 突如グラウンドの中心に巨大な竜巻が発生する。
 会場は一時騒然とするが、その竜巻はすぐに消え、そこに人影が現れる。
「ふぅん。おもしろそうなことやってんじゃん」
 現れた人影は6人。
 まず、口を開いたのは二人いる少年の内の一人。
「げっ!!お前たちは」
 エドをはじめとする、ここにいる5人全員が彼らに面識があった。
 先ほど言葉を発したエンヴィー、それにラストとグラトニー。グリードとスロウス、ラストもその場に立っている。
「ホムンクルスどもか。どうせ貴様らが待合所の者たちを」
「待合所だぁ?」
 ロイとグリードの間に火花が散る。
「ふむ。では、エド君たちとホムンクルスたちで勝負をつけるというのはどうかね?」
 誰にも気づかれることなく、大総統がロイとグリードの間に割って入る。
「6対6の個人戦と最後の騎馬戦でというのはどうかね?」
 いつもと変わらぬ笑顔だが、その存在感と威圧感は、否定を許さないといった感じだ。

『第1試合。パン食い競争です』
 アナウンサーの声が会場内に響き渡る。
『ホムンクルスチームからはグラトニー、そしてエドチームからは・・・ラッセル?』
「どうして僕がこんなのに出場しなきゃならないんだぁぁ!!」
 ラッセル・トリンガム。以前、ある一件でエドたちと知り合った少年だ。
「こっちは1人たんねぇんだよ」
「僕は観戦にきただけだぞぉぉ」
 ホムンクルスたち6人に対し、エドたちは5人だった。
 そこであと1人探していたところ、観客席にいたラッセルを発見したのだ。
 無理矢理グラウンドに連れてこられ、今に至る。
「くそ。エド!後で覚えてろよ!!」
「おなかへったぁ・・・パン。食べる」
 スタート地点につくグラトニーとラッセル。
「位置について。よーい・・・ドン!」
 競技が開始される。
 30メートル先に吊るされたパンを取り、先にゴールしたら勝ちと言うオーソドックスなものだ。
 パンに先に到達したのはラッセルだった。グラトニーはまだ後ろを走っている。
「へへ。僕の勝ちだな。よっと、あれ。っとっと」
 しかし、なかなかパンが口の中に入らない。
「もうすこ・・・うわぁぁぁ」
 追いついてきたグラトニーが、巨大な舌で並んでいたパンを全て取り去ってしまう。
 そして、呆気に取られているラッセルを置いて、グラトニーがゴールに入る。
『あ・・・えっと。グラトニーの勝ち・・・です。ホムンクルスチーム1勝』
「あぁぁ!?今の競技妨害だろぉぉ」
「まだ足りない。もっとぉぉ」

『第2試合。100メートル競争。えっと、ラストさんとマスタング大佐の対決です』
「貴方のようなお美しい女性と戦わねばならぬとは」
 スタート地点に立つ、ラストとロイ。
 ロイの手には一輪のバラがもたれ、ラストに向けられている。
「ねぇ、この競技・・・体の一部があの線を越えればゴールなのよね」
「え?あ。はい。そうです」
 ラストは完全にロイを無視して係員に質問していた。
『大佐。そろそろ準備してくださいねぇ』
「しかし、勝負は全力でいかせてもらおう。それが礼儀というものだからね」
 ロイとラストがスタート地点につく。
 スタートの構えをとるロイ。しかし、ラストは普段どおり立ったままだ。
「あの。よろしいでしょうか?」
「えぇ。かまわないわよ」
「そうですか・・・では、位置について、よーい・・・ドン!」
 係員のピストルが鳴る。
 ロイがよいスタートを切り、ラストを置いていく。
「ふふ。勝たせてもらうぞ」
 しかし、そのロイの隣を線の薄いなにかが通り過ぎていく。
 そして、ゴールテープが切られる。
「なに!?」
 ロイはまだ20メートル地点といったところだろうか。
 彼が後ろを振り向くとそこにはまだ立ったまま。だが、その右手だけが前に向けられている。
「まさか」
 その右手の指は長く伸び、ゴールラインを超えていた。
「体の一部が入ればいいのよね。私の勝ちよ」
『え、えっと・・・そ、そうですけど。いいのかなぁ・・・あ。勝ちです。だから睨まないでぇぇ』
 その場に崩れ落ちるロイ。
『あ・・・ラスト勝利で、ホムンクルスチーム2勝です』

『第3試合。障害物競走。出場者はホークアイ中尉とスロウス・・・ダグラス秘書官?に似ていると思うのは私だけでしょうか』
 アナウンサーがグリードに睨まれつっこみを止める。
 障害物競走。平行棒と跳び箱。網くぐり。そして最後に地雷原を抜けていくスリリングな競技だ。
「・・・地雷原?」
 リザが眉間にシワを寄せる。
「位置について。よーい・・・ドン!」
 1、2試合目とはちがい、スムーズに競技が開始される。
 二人とも問題なく、平行棒と跳び箱を超えていく。
 そして、コーナーを回ると、網くぐりだ。
『さぁ、先に網に入ったのは、ホークアイ中尉だ!!』
 網に入るリザ。しかし、そこに罠が舞っていた。
 網の下を進むたびに、リザの服が引っかかっていく。性格には、網にとらわれていっている。
『おぉぉとぉぉ!!ホークアイ中尉の服が脱げてイクぞぉ!!大佐の考えた罠にひっかかってしまったぁぁ』
 アナウンサーの叫びと共に観客たちも大声を上げる。
「大佐・・・」
 網の中でリザがロイを睨む。
『さぁ、スロウスはどうするのか・・・え?』
 スロウスの体が徐々に透き通って行き、最後には完全に水になってしまう。
 そして、そのまま網の下を通り、地雷原も抜けていく。
「・・・これでよいのかしら」
 ゴールテープ前で人に戻り、ゴールを抜ける。
 反応がない。
 観客からも、そして係員も。
『あ・・・いいんですか?えっと、大総統が許可しているのでいいみたいです。勝者スロウス!!ホムンクルスチーム、3勝。3勝目です!!』

「もうしわけありません。大佐・・・しかし、この大会終了後お話が・・・」
「う。うむ・・・」
 エドたちのチームの作戦会議が始まった。のっけから3敗してしまったのだ、もう後がない。
 残りは、借り物競争に大玉転がし。練成対決。そして、騎馬戦のみだ。
『あ・・・うん。諸君。ここらで作戦会議をかねたお昼とする。では、午後の部は13時からじゃ』


エンヴィー   「なんだ僕らの圧勝じゃん」
ラスト     「情けない人たちね」
エドワード   「お前ら!!少しは真面目にやれよ」
エンヴィー   「やってるだろうが。別にルール違反はしてねぇぜ」
アルフォンス  「兄さん・・・分が悪いよ」
ウィンリィ   「というより、続き物なのね。これって」

次回予告
 いきなりの3連敗で後のないエドたち。
 このままホムンクルスたちに負けてしまうのか?
 それとも、大逆転があるのか?
 次回。運動会だよ全員集合〜完結編〜
 次回もこのチャンネルに練成よw

ラスト     「練成よw」
エドワード   「次回予告ウィンリィじゃないのか!?」
エンヴィー   「ラストが・・・『練成よw』って・・・」
ラスト     「っ!!・・・それ以上言ったら殺すわよ・・・」
 
 

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